石川恭子
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第3回定例区議会で石川恭子が一般質問
第3回定例区議会で石川恭子が一般質問
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 第3回定例区議会が開かれています。9月8日、石川恭子が一般質問しました。一般質問全文は次の通りです。
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私は日本共産党区議団の一員として、区が行おうとする公立保育園の指定者管理制度による民営化と公立幼稚園の認定子ども園への転換計画について、公的保育制度を守る視点から3点について質問します。

第1番目に児童福祉法と公的保育制度の堅持についてです。
児童権利宣言は、人類は、児童に対して最善のものを与える義務を負い、児童は、身体的及び精神的の両面における発達に必要な手段が与えられなければならないとしています。また子ども権利条約は、児童の最善の利益の保障と、児童の意見表明権を明らかにし、ユニセフ基本原則には「子どもの命や健全な発育こそが社会や関心の最優先課題でなければならない」とうたっています。
 さらに児童福祉法は、保育に欠ける子どもは、国と地方自治体が責任を持って保育を実施し、家庭の経済力に関わらず子ども一人ひとりを健やかに育ち、保育を受ける権利を保障するとし、国民の保育を受ける権利と、自治体の実施義務を明らかにしました。
現在、各地で経費の削減を最大の目的に公立保育園の公設民営化、公立保育園を廃止しての民設民営化が進められ、全国の公立保育園が減らされています。また目黒区は、公立幼稚園の「認定こども園」への転換を計画検討しています。
「認定こども園」は、国が新たに創設した制度です。保護者が就労している、いないにかかわらず利用でき、就学前の子どもに幼児教育・保育を提供する機能を持つ施設で、待機児解消のための施設としても位置づけられています。
しかし、「認定子ども園」は、〇楡澆篆Π配置の基準や、保育・教育の内容があいまいなこと、直接契約制で、保育料は事業者が自由に設定し、徴収できること、F所の決定に自治体が関与することが出来ず、保育に欠ける子どもが優先的に入所できるという保障がないことなどの問題があります。このような「認定こども園」が増えていけば、保育内容の低下と保育に欠ける子どもに対する自治体の責任と義務が曖昧になり、児童福祉法の下での公的保育制度が崩壊することが懸念されます。
保育園の民営化や認定こども園など民営化路線の背景には、国の「小さな政府」、「官から民へ」の構造改革の流れがあります。7月31日、規制改革・民間解放推進会議が保育園を重点検討事項に挙げ、「行政の役割は、自らあるいは委託の形で保育サービスを提供するのではなく・・・公的扶助色の薄い普遍的な仕組みへと、抜本的に転換することが求められている」と指摘しているように、2兆円市場とも言われている保育の分野を民間企業に開放し、保育を商品の対象にすることを狙っています。
目黒区の公立保育園は、1961年都からの移管を受けて4園からスタートしました。当時0歳児保育もなく、保育時間も短いという状況の中で、保護者は、親の働く権利と子どもの成長発達の保障を求めて、保育所の増設、保育時間の延長、職員の増員、給食の充実、産休明け保育の実施、障害児保育の実施、地域の子育て支援センターの役割等々、様々な要求を区に働きかけてきました。子どもを中心にすえ、保護者、保育関係者、行政が一緒になって、安心して預けられ、子どもが豊かに育つ条件整備の努力が重ねられてきたのです。全国にも誇れる今日の目黒区の保育制度がつくられてきた土台にあったのは、児童福祉法に明記された保育に欠ける児童に対する自治体の保育を実施する義務と責任を果たす努力に他なりません。
昨年、子ども条例の制定にあたって、区は提案理由に「物質的には豊かな社会の一方、少子化に伴う子ども社会の変容、児童虐待やいじめと言った子どもの人権侵害の深刻化など、子どもを取り巻く環境が大きく変化している。子どもが健やかに育ち、社会の一員として成長いくためには、子育ちのための支援を地域社会全体で進めていく必要がある」とのべています。年々子どもを取り巻く環境が悪化する中、子どもの権利条約の理念を生かし、子育てのセンターとしての区立保育園の役割を積極的に果たしていくことが求められています。そのためにも、児童福祉法を堅持し、法に規定されている自治体としての役割と責務を保育行政に生かしていくべきだと考えますが、区長の見解を伺います。

第2番目に、子どもの権利保障と保育の質の確保について伺います。
すでに民営化された保育園では、経費削減のために正規職員が大幅に削減されました。多くが非正規職員という中で、正規職員に大きな負担がかかり、その結果、正規職員がどんどん辞めるという事態が起きています。職員の入れ替わりが激しく、子どもの精神状態が不安定になり、医者にかかるケースが出たり、事故が多発するなど、保育現場に大きな混乱が起きました。
保育園における乳幼児の成長発達は、子どもと保護者と保育士のコミュニケーションと信頼関係の中ではぐくまれます。保育士は、子どもとの関係では、一人ひとりの個性のある子どもに寄り添い、子どもの発する言葉や動作、身振り手振りも含め子どもの要求を受け止め、子どもに返していきます。こうした日々のやり取りの中で、子どもは保育士を信頼し、毎日を楽しく豊かに過ごすことができます。
また、保育士は、保護者との関係では、育児不安や家庭の中でおきている問題などについて一緒に考え解決し、子どもの成長発達にとってよりよい環境づくりを保護者とともに進めていきます。今日、長時間労働、非正規雇用の拡大、貧困の拡大などが子どもの生活に大きな影響を及ぼしており、保育士と子どもや保護者との関わりがこれまで以上に重要になっています。
保育士の育児の専門家としての力は、専門的な知識と安定した労働条件の中で、子ども一人ひとりの育ちや一人ひとりの親との関わりの経験を積み重ね、職員集団のチームワークの中で育てられ、培われていきます。その環境づくりのために、目黒区は独自の職員配置基準をつくってきたのです。
第二田道保育園の保護者が行ったアンケートでは、保育士の幅広い年齢層、ベテラン保育士の充実、出入りの少ない安定した職員体制の中での熱心な保育の取り組みを保護者が高く評価しています。「どんな家庭もありのままに受け止め、親の考えや方針を尊重しサポートしてくれた」「初めての育児で不安だったとき『一緒に育てましょう』と声をかけてくれた」という声が寄せられ、100%の保護者が第二田道保育園の保育に満足していると答えています。
「子どもの最善の利益を保障する」とした子どもの権利条約の見地からも、今まで築き上げてきた目黒の保育の質を引き下げることなく、さらに充実させていくことが求められていると思いますが、区長の考えを伺います。

第3番目に、区民との協議の継続について伺います。
第二田道保育園の保護者と行政の協議会が行われてきましたが、区はこれを9月で終了しようとしています。
この間の協議会では、「なぜ、民営化なのか」「目黒区はどんな保育ビジョンを持っているのか」等、保護者の質問に区はまともに回答できませんでした。区は、そもそも論は協議会の議題にしないとし、さらに、第二田道保育園の民営化に向けた実施策の検討に入らなければ協議会を中止するとまで言ってきたのです。保護者は民営化によって「保育が低下するのではないか」「子どもたちに大きな影響が出るのではないか」などと不安を募らせてきました。 
協議会が開始された当初、保護者の中には、民営化でもいいのではないかという声もありましたが、協議が重ねられる中、今では91%が民営化には納得できないとアンケートに答え、民営化反対の立場を明らかにしました。保護者は、9月以降も協議会を続けてほしいと切望しています。
区長は、公約に「区民が主役の区政の実現」をかかげ「区民の皆様の積極的な行政参加を促進するとともに、生活者の視点から区政の課題をとらえ、地域住民とともに問題解決に努めます」と述べてこられましたが、公約の立場からも、協議を終了することは許されないのではないでしょうか。
第二田道保育園の民営化は、目黒区の保育のあり方の基本に関わる問題です。区民が主役という公約をかかげた区長であれば、保護者だけではなく、多くの保育関係者ならびに区民との十分な協議もするべきだと思いますが、区長の見解を伺います。以上で私の一般質問を終わります。
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■質問に対する区長の答弁は、次の通りです。
●1について  今後も児童福祉法、子ども条例に基づいて保育行政を進めていく。
●2について  保育水準を維持するために、(民営化の)選定条件を明確にしていく。
●3について  民営化について、第二田道保護者全体に話しをする場をもうける。
 区民に対しての、民営化についての説明や協議の場は(設けず)、パブリックコメント(意見募集)をする。
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   一般質問を終えて

横浜の裁判は、保護者の合意のない一方的な民営化は違法だと判決を下しました。この判決から考えても、第二田道保育園の場合も保護者が民営化反対の態度を明らかにしているのですから民営化は違法です。横浜の場合、すでに民営化が行われている中での裁判でしたが、目黒はまだ民営化されていません。区長はこの判決を真摯に受け止め、民営化の計画を止めるべきです。
さらに区長は、保護者全体に話し合いの場を設けると答えましたが、やはりこの事につ いても裁判では、最初に民営化ありきの話し合いは問題だと批判しています。
目黒の保育の根本を変えていく問題については、保育園保護者だけではなく区民に対してきちんと説明し、協議の場を設けていかなければならないと思います。
区長は「区民が主役」を公約にかかげました。公約を実践してほしいと思います。



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