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■区議会企画総務委員会の行政視察の報告
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私が属している区議会企画総務委員会は10月21日(月)〜23日(水)に行政視察を行いました。以下、その報告です。
三重県松阪市「事業仕分け」について
現在、ほとんどの自治体で「行財政改革」の名のもとに、経費の削減、事業の「選択を集中」をすすめている。「事業仕分け」も「外部の客観的な視点による検証」という名目で行革推進の一環としてとりいれている自治体も多い。
松阪市も2004〜09年度に「行財政集中改革プラン」を実行し、2010年度を「行財政改革元年」と位置付け、「新たな行財政改革に取り組んでいく」として事業仕分けを実施し始めた。事業仕分けを行うことで「経常経費や物件費、補助金の一部削減にとどまり、事業そのものの必要性や実施手法の見直しといった踏み込んだ議論には至らず」という「課題」を克服することを目的にしている。
事業仕分けの対象は一般会計事業1000事業の1割にあたる100事業を3か年で事業仕分けするという計画で行われている。
私たちは、住民生活向けの経費を含め、ばっさりと削る行革路線や事業仕分けはやるべきではないとの立場であるが、松阪市の場合は、この事業仕分けに住民を参加させているという点で、他の自治体とは一味違っている。いわゆる、「仕分け人」と呼ばれる行政の専門家やコンサルタントだけでなく、住民から公募し「市民判定人」を設けているところが特徴的だ。一種の「住民参加」の一つの形態である。
「仕分け人」の目線だけでなく、住民の目線から事業を判定することも可能になるわけだが、私も「仕分け人だけの判定と市民判定人が加わった判定とどう違うか」と質問したところ、市は「市民判定人の方が評価はやさしい」と言っていた。
ただ、住民参加の徹底という面ではまだ不十分であるようである。市民判定人も、2000人の市民に呼びかけても返事が返ってきたのは85人程度、6〜7%しかない。また、事業仕分けに基づいて市が作成する「対応方針」への意見募集についても、パブリックコメントは特に行わず、対応方針の説明会の時の市民から寄せられた意見聴取が中心であり、この点が気になった。
私は自治体の施策への住民参加ということでいえば、経費削減や効率化ありきで「小さな自治体」づくりを進める「事業仕分け」への参加ではなく、政策をつくる段階での住民参加を追求する方が積極的だと思うのだが…。
三重県亀山市「市税等の徴収体制の強化・行政サービスの制限措置について」
現在、どこの自治体でも税金や国民健康保険料などの滞納が増加傾向にあるため、滞納対策を強化している。貧困と格差が広がる下で、税金や保険料を納められない住民が増えていることが背景にある。
もちろん、税金や保険料を払うことができるにもかかわらず滞納を繰り返す「悪質」な滞納者への対策は必要だが、住民の間の「不公平感」などを持ち出し、差し押さえなどで強制的な滞納対策を強化する流れには賛同できない。したがって、私はいくら滞納対策とはいえ、「行政サービスの制限措置」を条例化することは賛同できない。
亀山市は以前、シャープ亀山工場の税収が大きく、財政力指数は1.38であった。しかし、2011年度は経済悪化の影響もあり0.97に落ち込んだ。そこで、これまで問題にならなかった市民税や国保税の滞納対策強化が課題になったという背景がある。これが条例化へとつながったのであろうが、これまでの滞納対策でも十分、対処できるのではないか。
実際、2013年度上半期でいえば、行政サービスを受けたいとの市民の依頼を受け、滞納者の確認を要する件数は652件あったうち、未納付を確認した件数は32件にしか過ぎない。そのうち、制限措置をとったのはわずか5件である。24件は完納している。この数字から見ても、条例がなくても税務部署が市民に対して丁寧な対策をとれば、完納へと結びつくことも十分に可能ではないかと思う。実際、亀山市は十分に期間をとって住民への対応を行っている。
現在、亀山市がサービスを制限する滞納対象としているものは、市税(市県民税、固定資産税、都市計画税、軽自動車税、国民健康保険)、保育料、市営住宅家賃、下水道料金等である。それを今後、後期高齢者医療保険料にまで広げようとしている。もし、後期高齢までサービス制限を広げれば、お年寄りにとって過酷な滞納対策とサービス制限が実行されかねない。避けるべきである。
奈良県奈良市「配偶者等の暴力の防止及び被害者支援計画について」
奈良市はDVなどの対策について男女共同参画課(男女共同参画センター)ですすめている。2009年度から「配偶者等の暴力の防止及び被害者支援計画」づくりに取り組み、2011年9月に策定した。DV防止専門の計画をつくっている自治体は、そう多くないと思う。計画と同時にDV啓発リーフレットの作成や、ワンストップ化のためのDV被害者相談共通シートを作成していて、奈良県と共同しながらDV対策をすすめている様子がよくわかった。
目黒区では男女平等共同参画センターや子ども家庭課でDV相談を行っているが、奈良市ほど本格的ではなく、もっぱら、東京都の相談センターに任せている。奈良市が中核市であることを考慮しても、目黒区の取り組みは遅れていると感じる。
また、男女共同参画センターの活用についても、奈良市は活発である。常勤職員5人と非常勤職員2人の体制をとり充実させている。もちろん、全国的な行革の流れの中で、以前と比べて職員が削減されているようだが、それでも、センターを拠点にして男女共同参画を広げていこうという意識が感じられた。
センターの規模が目黒区とは違うが、講座、セミナー、講演会も活発にやっている。「話し方入門」「人間関係アップセミナー」「プレゼンテーション講座」「女性のための起業家セミナー」「DV防止研修会」など多岐にわたっている。市民団体の力が強いのだろうが、活力を感じる。
やはり、男女平等共同参画を進めていくためには、自治体のやる気、女性団体などのやる気が重要だと感じた。目黒区ではそれが足りないのではないか。また、DV相談窓口の強化とともに、子育て部門と連携をよくとれる体制づくりも必要であると感じた。
以 上
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