森美彦 日本共産党目黒区議会議員 葉っぱ
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区政資料室

■(財政)「財政難」キャンペーンを斬る(3)



 6月30日に提出した目黒区議団の「緊急財政対策にかかる具体的取り組み」への意見について、図表をつけて解説したいと思います。  

ゼロからの見直しの姿勢の意味…横暴さ

 目黒区は、財政の危機的状況を回避するためと言って、「緊急財政対策」の第2弾として、「具体的な取り組み」を6月5日付区報に掲載しました。区が検討している内容は、区民生活や福祉に関わる全ての事業をゼロから見直し、2012年度から3年間で累計180億円の支出を削減するものです。
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図0 12年度25億円、13年度35億円、14年度35億円の削減は史上最大の区民犠牲の押し付け(累積180=25×3+35×2+35×1)

 現在、見直しの対象になっている全事務事業(約900事業)のなかには、長い目黒区政の歴史の中で、多くの区民とともにつくってきた宝のような区民施策(事業)が少なくありません。いわば、区民の血と汗の結晶のような区民施策を、当然のような顔をして「ゼロから見直す」と言い放つ姿勢に大いなる「横暴さ」を感じざるをえません。一片の反省の姿勢さえ区民に示さないで・・・。

第1弾に批判が広がる中、第2弾は史上最大の区民犠牲に

 すでに、第1弾として、区立第4特別養護老人ホームの延期、東山小学校改築の延期、箱根保養所の廃止など、区民の声も聞かずに一方的に強行する区の姿勢に対し、区民のみなさんからきびしい批判が出されています。(注1) その上、第2弾が実行されれば、区民生活に大きな犠牲を強いることになります。言うまでもなく、区民の福祉と暮らしを守ることが自治体の第1の役割であります。これを放棄すれば自治体は変質することになります。

反省した上で、区民とともに知恵を出し合う姿勢こそ

 目黒区基本構想の理念の柱には、住民自治の確立があります。緊急財政対策がなぜ必要なのか、区財政がどんな現状なのか、区民と財政情報を共有し、共に知恵を出し合うことが重要です。こうした立場から、以下、意見を述べます。

1.目黒区の財政運営の問題点について

� 屬覆写楾�だけが財政危機なのか」

 区は、このままだと2013年度に基金がなくなることなどを理由にして、財政が危機的状況としていますが、そもそも、目黒区の財政力は、23区中5位の力を持ち(図1)、決算は30年以上黒字(実質収支)(図2)です。それにもかかわらず、なぜ基金の枯渇が問題になっているのでしょうか。
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図2 決算は30年以上黒字(実質収支)です。

 すでに、わが党は、見解を明らかにしてきましたが、目黒区のこれまでの財政運営のあり方に問題がありました。
 これまで区は、中目黒再開発や都立大跡地開発など開発優先の実施計画を策定し、その実施に不足する財源を補うために区民いじめの「行革」を推進するという財政運営のあり方をずっと続けてきました。実施計画(98-02年度)の約7割(約500億円)を再開発など都市計画関連事業が占めていたこともありました。(図3)
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図3 実施計画(98-02年度)の約7割(約500億円)を再開発など都市計画関連事業が占めていた。

その上、千代田生命破たんを受けて、突如決定した新庁舎移転事業(00〜04年度)では、移転経費246億円の内、基金の取り崩しは60億円にも上りました。(図4)
 開発財源を捻出するために起債(借金)を積み重ね、基金(貯金)を取り崩して穴埋めする状況の下で、年間100億円を超える基金繰入が3年も行われました。(図5)このため基金残高は100億円に減少し、その内活用可能な基金は10億円(現在、区は40億円としているが当時は10億と言っていた)にまで落ち込んでしまいました。(図6)
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図5 開発財源と基金取崩の関係図 年間100億円を超える基金繰入が3年も

 このころの経常収支比率も90%前後であり、年間に自由に使える予算が100億円程度しかないのに、100億円そっくり大型ハコモノ建設や再開発等都市計画関連に使っている勘定でした。
 ところが、区は、2000年度当時から今日に至る10年スパンの中期財政計画も持たず、将来の財政危機の予測も検討しない無責任で放漫な財政運営を続けてきたのです。

�◆岾�発優先の姿勢がまったく変わっていない」

 財政がたいへんというのなら開発優先の姿勢こそ転換しなければなりません。しかし、こうした苦い教訓を生かすこともせず、開発優先の姿勢がまったく変わっていないことは重大です。
 まず、中目黒駅北側の開発です。目黒区は、すでに中目黒で超高層ビル建設を中心とする上目黒1丁目・2丁目の再開発を推進してきました。現行の都市計画マスタープランや再開発を誘導する位置づけの先行まちづくりプロジェクトに沿ってすすめれば、超高層ビル中心の新たな再開発を招きかねません。また、代官山に至る広大な面積の開発を進めれば、住宅地を巻き込み、より多くの住民を追い出すことになります。
 同様に、目黒駅前開発や西小山駅周辺開発も動きが出ていますが、これらを推進すれば、将来区財政をさらに圧迫することは明らかです。

��「税収の落ち込みや子ども医療費などの歳出増は23区同じ」

 税収の落ち込みを指摘していますが、23区とも同様の傾向にあり、目黒だけではありません。
 区は、06から08年度にかけて歳出が30億円も増えたことを財政危機の要因とし、子どもの医療費助成、資源回収費、後期高齢者医療特別会計繰出金を挙げています。しかし、23区で目黒区だけがこれらの施策をすすめているわけではありません。
子ども医療費助成は長年の区民要求が実現したものであり、23区に共通した施策です。また、資源回収費については、資源の有効活用、低エネルギー社会にあった目黒区の誇りとするものです。
 なお、08年度の決算額から06年度の決算額を差し引いた額を多い順に並べると、第1位は市街地再開発費27億円、第2位は公園等新設・拡張費24億円、第3位は施設整備基金積立金18億円という順位です。(表1)
 また、今回の180億円のカットの対象を区民生活や福祉を支えている経常経費などのカットを打ち出しましたが、一人あたりの民生費を23区比較すると下から3位というありさまですし(図7)、民生費と教育費の合計が一般会計に占める構成比は、1980年から2009年まで次第に右肩下がりで推移しています。(図8
 いずれにしても、歳出が30億円増えた要因に、子どもの医療費など区民施策を拡充させたことをことさら挙げるのは、開発優先による財政圧迫を覆い隠そうという姿勢にほかなりません。

2.削減目標額180億円の問題について

�ー�支見通しの問題について

 目黒区は、財政計画の特別区税にかかる部分を3年間増収ゼロの横這いと見直し、2012年度〜2014年度までの3か年で修正前より修正後の方が155億円減少するとしました。これは、景気悪化による影響を考慮し、財政見通しを区独自に手直ししたものと思われます。(図9)   しかし、そのことによる区民生活への影響の大きさを考えれば、しっかりとした根拠を区民に示す必要があります。
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図9 意図的に155億円下方修正したが、23区中でこんな収支見通しは見られない

 また、3年間の視点しかない目先の見直しだけではなく、中長期の財政見通しについても明らかにすべきです。

�∈鏝彩槁験曖隠牽芦�円の問題について

 区民議牲の規模は、ただ事ではありません。12年度25億円、13年度35億円、14年度35億円、3年間のどの年も史上最高のカット額です。
 削減するやり方は示しましたが、なぜ180億円なのか、については、明確な根拠は示されていません。
ア、「政策的経費」とは何かを明らかにすべき
削減目標額は、政策的経費を捻出するため3年間で累計180億円をカットするとしていますが、「政策的経費」とは何かが明らかにされていません。
しかも、3年間累計で500億円を区全体の見直し検討対象額として部局別に割り振り、一律カットに帰着する手法には、政策的な理念は全く見受けられません。
イ、64億円の基金の温存について
大震災による景気悪化の影響により、さらに、区税収入などが落ち込めば、赤字が深刻化するから、活用可能な基金64億円は温存する方針にした、と言いますが、64億円の基金を温存するために、不況と震災に苦しむ区民生活を追い込むことは許されません。
ウ、繰越金について
5年間連続して30億円以上出ている繰越金が意図的に除外されています。赤字になることを意図的に作り出し、区民犠牲押付けの「大行革」を進めようとしている、と言われても仕方ありません。

3.相対評価で福祉を削減すれば、いのちが守れない危機にも陥りやすい。区長トップダウンで一方的に強行せず、自治体の原点を踏まえること

�。海弔留愾虻導�発などの見直しは聖域にされていますが、再開発中止の指示をだすこと。
��区民センター、碑文谷体育館の耐震化を早期に実現すること。また、東山小学校など老朽化の著しい施設の改築をすすめること。
�6萍雲験茲北�着している図書館、社教館、体育館、サービス窓口などの施設数の削減はやめること。
�せ楡濟藩冦礎余紊押▲乾濕�集の有料化、保育園、学童保育、幼稚園の負担金(保育料)の値上げはしないこと。
�ザ萠�第4特養ホームの建設を早期に実現すること。
�θ∈�保養所は、区民参加で今後のあり方を再検討すること。
�С惺擦療�廃合はやめること。
�┰�成金、各種団体の削減などによって、区民との協働が推進されてきた側面を断ち切らないこと。
��公共性の高い施設を否定し、区民の財産を売却することは慎重にすること。JR跡地については、大企業に貸し出すのではなく、東京都との基本協定は破棄し、特養ホームや保育園の整備など当初の購入目的である福祉目的にもどすこと。
��運営委託など民営化の拡大を止めること。
��地区、住区のあり方を区民参加で検討もしないまま見直しすることはやめること。
��大震災での公務員の役割を改めて重視し、職員削減計画を撤回すること。また、美術館の学芸員、保育園の調理師など少数専門職や現業職の退職不補充をやめること。
��収納対策については、区民生活の実態を把握しない差押えなどは止めること。

4.国や都などへの財源確保に向けた取り組みについても位置づけること

�‘始�占用料の改定を抜本的に行うこと。
��大企業減税や株式譲渡所得にかかる大資産家優遇の減税を廃止するよう国に要求すること。
�B膓恐鮎絽�園等の経費は、整備費及び完成後の維持管理経費の全額を首都高�蠅僕弋瓩垢襪海函�
�ぃ複卆彙呂砲弔い討蓮�東京都分の土地を無償もしくは安く貸すよう求めること。
�ヅ垰垠弉荼鯢婉發料�額および財調の配分率(現行55%)を増え続ける23区の仕事の実態に即して増やすよう都に要求すること。
��国保にかかわる補助率引き上げや各種ワクチンに対する補助金など国や都の補助金を拡充するよう求めること。

5.直ちに区民への説明責任を果たすとともに、住民自治に向けた住民参加を推進し、区民の立場から財政再建を進めること。

 区民には緊急財政対策についての意見を求めている一方で、部長級を先頭に全職員を動員して、全事業をゼロから見直させ、8月には見直し対象500億円を絞り出そうとしています。(注)にもかかわらず、いまだに一度の説明会も行われず、今後も説明会の開催予定はありません。秋に行うパブリックコメントは形式だけ、住民自治に基づいて合意へと練り上げていく住民参加のプロセスとは無縁です。
 直ちに、住区ごと関係団体ごとに説明会を開催し徹底すること。
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(注1)3月改定されたばかりの実施計画17事業の延期・縮小により2011年度の財源が26億円確保できるとした。まさに、区民不在でルールを無視した区長トップダウンのやり方であった。
(注2)区は180億円の素案を8月10日に公表し、例年10月に行う「区民と区長のまちづくり懇談会」を8月下旬に行い、180億円削減素案を説明すると、7月13日、区議会に報告しました。


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