党の政策
岩崎議員が自由が丘東地区の大型再開発計画に反対する討論を行いました
目黒区議会第4定例会の最終日の12月4日、岩崎議員が自由が丘東地区の大型再開発計画に反対する討論を行いました。内容は次の通りです。
私は日本共産党目黒区議団を代表し、議案第78号 自由が丘東地区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例について、反対の立場から討論します。
この条例は、自由が丘東地区について、市街地再開発事業の実施に伴い、建築物の用途、敷地面積の最低限度、壁面の位置の制限、高さの最高限度等を定めるものです。
区はこれまで、自由が丘駅周辺で市街地再開発事業を行うことについて、建物の老朽化による防災性の低下や歩行者と車両の錯綜や交通渋滞、緊急車両の通行阻害等が課題であり、都市計画道路沿道と一体となったまちづくり、鉄道の立体化、建物の共同建て替え、都市計画道路の拡幅、駅前広場の創出を行うことで、安全・安心なまちづくりを進めるためとしています。
自由が丘東地区の再開発は約0.9ha、権利者数約90人という敷地に95mの超高層ビルを建てるという大型再開発計画です。現在、全国的にも東京都内でも大型再開発のあり方が問われているときに、当該地区で超高層ビル建設型の大型再開発を進めることはいくつかの点で問題があると考えます。
その一つ目は、95mという超高層ビルの建設です。
この間の街づくりや再開発事業の説明会の中で、住民や地権者らから「高層ビルは圧迫感があり自由が丘にはふさわしくない」「大きなビルを建てることがよいこととは思えない」などの意見も出されました。
日本共産党区議団が行ったアンケート調査でも、「目黒に高い建物はいらない」という回答が多数ありました。
超高層ビル、超高層マンションは、高額な初期投資、維持管理・修繕費用がかかり、不況時の資産価値の下落リスクが高まること、建て替え時など区分所有権の合意形成がより困難なこと、長周期地震動、火災、電源喪失など災害時の超高層ビル特有の危険などのリスクが指摘されています。超高層ビル群の谷間、周辺住環境への被害、日照、強風、コミュニティ遮断など周辺住民への直接被害も発生しています。
超高層ビルは二酸化炭素を大量に発生させ、ヒートアイランド化、風害、豪雨災害などの環境悪化を招きかねません。日本建築学会は、南海トラフや相模トラフの大地震を想定した場合の超高層建物の揺れは、当初設計時に想定した地震動よりも相当長い時間大きく揺れる可能性が高いと指摘しています。
再開発で防災対策や歩行者の安全性や回遊性の向上、みどりや広場などの憩いの空間の整備などが進むように見えるかもしれませんが、超高層ビルの建設は新たな災害を生むリスクや環境への影響も生じます。
第2は、再開発事業への住民や地権者らの不信感が根強いことです。
地権者らからは、「権利変換についての懸念が払拭されない」「再開発後に安定した収益が確保できない可能性がある」「地権者が契約しているテナントの立ち退き交渉や、それに伴う費用の負担や支払い方法に関する明確な方針が示されていない」と言った意見が出されています。
地権者にとっては、再開発後の自らの生活や営業がどうなっていくのか大きな不安を抱えています。大企業や大手ディベロッパーは保留床の売買などで大きな利益を得ることができますが、中小地権者にとってはどういった権利変換計画になるのか見通しがつかないまま事業が進められれば、結局のところ、将来的な生活設計ができずに地域から追い出されてしまう状況になってしまいます。実際、各地で住民追い出しといった事態が広がっています。物価の高騰などで明確な事業費を算出することができないことも不安をかき立てています。
そして、準備組合の説明不足や透明性が不十分であるといった指摘もあります。「多くの近隣住民・地権者の納得と同意が得られていない状況で、このまま都市計画決定を行うのは大きなトラブルになるのではないか」あるいは「事業費の見込みなど重要事項を不透明なまま事業を進めることは関係者の信頼を損ねる」といった意見も出されています。
区と準備組合は、建設物価が上昇している状況で、都市計画決定が少しでも遅れると事業計画が成り立たないと言っていますが、周辺住民を含めた将来の街づくりに対する不安の声も出されていることや事業費の算定見込みが定まらないことを含め、大きな力を持っている大手ディベロッパーや大手地権者主導で事が進められ、中小地権者が置きざりにされかねない状況で本組合を立ち上げ事業を進めていけば、大きな禍根を残しかねません。
第3は事業費の見込みが立たない中で、多額の税金をつぎ込んでいくことは大いに問題です。
現在のところ、区は事業費を約600億円と見込み、その25%が国や都、目黒区などからの補助金や交付金とのことです。国が約75億円、都市計画交付金が約19億円、区費は約56億円です。区の支出分は都区財政調整の算定対象ですが、一般財源から支出がゼロになるということではありません。事業費が増額されれば区の支出分も増えていきます。
今後、老朽化の進む区立小中学校の建て替えを順次、進めていくにあたって、それに一定の区費をつぎ込んでいくことは避けられません。しかも、物価高騰や建設労働者の不足などで入札不調や工期の延長などで竣工時期の後ろ倒しとともに契約金額の増額なども想定されています。区が示している財政計画は、より具体的に積立基金残高の減少と特別区債残高の増加を試算し2030年度には特別区債残高が積立基金残高を上回る見込みだとしています。
老朽化している学校の建て替えは、児童・生徒の安全を考えれば避けることはできないなかで、区自体がそういう財政見込みを立てているのであれば、多額の税金をつぎ込む大型再開発計画ではなく、敷地面積や建物の高さを抑え、事業費も抑えた再開発にすることなども視野に入れるべきです。現在進めようとしている自由が丘東地区の大規模な市街地再開発事業は凍結し、見直すべきことを求め、討論を終わります。
以上