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党の政策

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2018年度目黒区一般会計決算に対する松嶋祐一郎議員の反対討論

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私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案第43号、平成30年度目黒区一般会計決算の認定に反対の立場から討論を行います。
決算年度は、アベノミクスが始まって6年がたち、大企業への連続減税などにより、大企業の利益は2.5倍にふえ、内部留保は400兆円を突破し、現金預金は、過去最高の66.6兆円になりました。一方、区民生活には景気回復の実感がありません。家計消費は消費税8%増税前と比べて年25万円も減り、今年の勤労者の7月実質賃金は、前年に比べ0・9%低下し、今年に入って7カ月連続のマイナスです。日経新聞の世論調査では、景気回復の実感がないが8割に上っています。貧困と格差がより一層深刻になるもとで、目黒区には区民生活を守る積極的な施策が求められているはずです。
決算年度の目黒区の歳入は、大企業の利益が伸びたことにより法人住民税などの増で、特別区交付金は32億円余の増、特別区税は10億円余の増など歳入増、各積立金も新たに80億円余を積み立てているにも関わらず、区民はくらしが良くなったことを実感できない状況であり、目黒区の区民生活を守る取り組みは不十分であります。以下、反対する理由を大きく、5点述べます。

 反対する理由の第一は、区長に区民の福祉やくらしを支える心がないという問題です。
その1は、リフト付き福祉タクシーを廃止してしまったことです。目黒区はこの年、リフト付き福祉タクシー事業を介護タクシー利用補助事業に一本化しました。その結果、今まで1000円だった費用が6600円になるなど、大きな負担増になりました。この事業は、障害者の社会参加や自己実現を促す目的で当時の障害者団体や区民、タクシー事業者など、関係者が協力し、粘り強い努力で実現させたものです。他区にもない運賃に直接6割補助するなど、全国にも誇れる制度でした。目黒区は事業廃止の大きな理由として、利用者の上位10名の利用率が全体の約半分を占めており、公平性が確保できないからといいます。しかし、事業の趣旨を鑑みれば、問題は公平性ではなく、サービスを必要とする全ての人が利用できる環境を整えることであり、事業廃止ではなく事業拡充こそすべきだったのではないでしょうか。当事者からの声も聴かず、この事業を「有名無実」といって切り捨てた区長の姿勢は、健常者と同様の生活が出来る様に支援する障害者差別解消法の理念からかけ離れています。

その2は、保育料を値上げしたことです。昨年9月からの保育料の値上げは、1億1600万円もの負担を子育て層に押し付けることになりました。子育て支援から逆行する大問題です。目黒区は保育料値上げの理由に、認可保育園運営費の保護者負担割合が近隣区と比較して低いことや、保育園を利用する人と利用しない人との公平性の確保を口実に値上げを進めました。こうした受益者負担の考え方は、保育の実施は国や自治体が責任を負うという児童福祉法に逆行し、目黒区の保育行政にゆがみを生み出している元凶です。さらに値上げに際しては、区民への説明会もなしに強行したことはあまりに乱暴なやり方です。

その3は、国の生活保護基準の見直しで、生活保護が引き下げられた問題です。国の新たな生活保護基準引き下げに伴い、昨年10月から65歳以上の単身世帯の76%、子どもがいる世帯の43%で保護費が引き下げられました。わが党はこの間、目黒区として生活保護削減の影響を調査し、猛暑対策の電気代補助を求めました。また、災害級の猛暑の中で、エアコンの無い生活保護世帯が25世帯あることが判明し、目黒区が援助して設置するよう要望しましたが、応じる姿勢は全くありませんでした。荒川区では昨年度から高齢者世帯へのクーラーの設置費補助が行われています。区長は、命を守るためにも、もっとも支援が必要な生活保護世帯に対し、エアコン設置の補助をするべきではないでしょうか。

その4は、国民健康保険の都道府県化が実施され、国保料の値上げに歯止めがかからない問題です。決算年度、国保の都道府県化がスタートしました。目黒区の国保は東京都が財政運営の主体となりました。こうした制度改革の最大の狙いは、市区町村が保険料を軽減するための一般会計から国保会計への繰り入れをやめさせ、保険料に転嫁させることです。現在、目黒区は納付金の6%を軽減措置として法定外繰り入れを行っています。しかし、これを毎年1%ずつ減らし、6年間で廃止するとしています。そうなれば、一人当たり保険料が約1万円値上げされます。現状でも高過ぎる保険料が払えず、決算年度で約11000世帯、4世帯に1世帯が滞納している状況です。高すぎる国保料に区民が悲鳴を上げています。この声に区長は真摯に耳を傾け、子どもの均等割を独自に減免するなど、負担軽減を図るべきです。

その5は、介護保険の改悪に伴う、高齢者の負担増の問題です。決算年度は、第7期の3か年の介護保険計画が始まった年です。介護保険料の改定では、月額基準額5,780円から6,240円に値上げされ、さらなる負担増となりました。この間、国の制度改悪によって、特養ホームの入所対象を要介護3以上に限定し、要支援1・2を介護給付から外し、総合事業に移すなど高齢者に負担を強いてきました。今後、国はさらに、要介護1・2の生活援助を介護給付から除外することや、介護利用料の2割負担の対象の拡大を狙っています。こうした国の改悪に対して、目黒区としてやめるよう意見を上げるとともに、目黒区独自の負担軽減を図るべきです。特養ホームの整備は、昨年度3つの特養ホームの開設準備を進め、今年度6中跡地に一か所整備ができました。しかしいまだ待機者は804名と増加しており、さらなる増設計画を打ち出すべきです。とりわけ特養ホームの人材確保ができずベッドが空き状態になっていることは深刻です。職員確保のための介護報酬引き上げをはじめとした国の支援拡充を求めるべきです。

その6は、高齢者や障害者、低所得者など住宅確保要配慮者への住宅政策が弱い問題です。高齢者などの住宅確保の困難さは年々深刻になっています。住宅に困窮する区民のために、区営住宅や高齢者福祉住宅を増やすことや、国の住宅セーフティネット制度を活用した居住支援協議会の創設、登録住宅の設置などに取り組むべきです。高齢者の家賃助成では、募集世帯数が80から90に増えたのに対して、応募や新規決定世帯が減っています。助成の6年限度をなくすなど、もっと拡充すべきです。また、わが党が公営住宅の修繕について、都公社住宅に合わせて入居者の負担を和らげよと求めた際、考えていないと答弁したことは、あまりに冷たい対応です。

反対する第二の理由として、子どもの最善の利益を優先するために、保育の質を確保する問題です。
決算年、目黒区は賃貸型保育園14園、国公有地を活用した保育園2園を整備し、待機児は昨年度330人から今年4月には79人となりました。父母の切実な願いである保育園の増設は評価しますが、量とともに質を確保する取り組みが不十分です。2015年から国が子ども・子育て支援新制度を導入し、園庭のないビルの一室でも良いとする規制緩和による小規模保育園などを導入しました。その結果、昨年度目黒区の一部の小規模保育園では、保育士資格がないのに園長をしていたり、職場環境が悪く次々と保育士がやめてしまい一時的に保育基準を下回る事態が生じるなど、新制度の矛盾が噴出しました。さらに、別の小規模保育園では3歳からの認可保育園への移行が困難で、連携施設を求める声が上がっています。こうした事態によって一番犠牲になるのは子どもたちです。国はその反省もなく、保育士の一斉退職や突然の休園など問題が相次いでいる企業主導型保育など認可外保育園によって、待機児童解消を進めています。目黒区では、18園の認可外保育園が基準を満たしていないことが判明しました。そうした中で、わが党は目黒区として保育がきちんと守られているか把握することや、東京都に指導検査体制の強化を求めよと指摘しましたが、目黒区は「基準以下でも全部が悪いわけではない」と無責任な姿勢をあらわにしました。さらに、区立保育園の廃止も許せません。区立保育園は、これまで障害児保育やアレルギー対応などを先進的に取り組んできました。医療的ケア児など困難ケースの児童を受け入れる際にも、区立保育園が果たす役割は重要です。経費削減の名で民営化を進めることに断固反対します。

反対する第三の理由として、区民の命とくらしを守る災害対策の問題です。
決算年は、震災や豪雨災害への対策が強く求められました。目黒区は2020年までに耐震化の目標95%を定めていますが、耐震化促進に多額の不用額を残しています。また感震ブレーカーの設置も進まないなど震災予防がまだまだ弱い現状があります。自助共助の強調だけでなく、公助の部分を強化することを求めます。

反対する第四の理由として、行革、民営化路線によって、自治体本来の役割を放棄している問題です。
決算年度は、改定された3か年の行革計画が実施されました。職員を増やさないという方針のもとで、区民サービスが脅かされています。保育園の産休代替や非常勤が埋まらず現場が大変という声、学童も非常勤が集まらないなど影響が出ています。生活保護の現場では、高齢者が増え困難ケースが増える中でケースワーカーが相談に乗ってくれないなど、区民から苦情があがっています。ケースワーカーの拡充が必要です。また、早期に児童館の設置を求める住民の要望に対して、新たな施設は作らないという区有施設見直し方針が立ちはだかっています。方針を押し付けるのではなく、区有施設それぞれの設置目的や質の違いを考慮し、柔軟に対応すべきです。

反対する第五の理由として、住民の声を聞かず、住民自治・住民参加の原則をないがしろにする区長の姿勢の問題です。
昨年度、目黒区は貴重な自由が丘の緑であり文化財でもある白日荘の遺贈を放棄しました。その後、白日荘は民間事業者に売却されたと聞きますが、近隣有志を中心とする「白日荘を大切に思う住民の会」が、緑の保全などについて事業者と交渉を続けています。最大の問題は、区長が遺贈の放棄を決定する際、近隣住民から話を聞いてほしいという声に背を向け、5,000筆以上も集めた署名の直接の受け取りも拒否した事実です。このような住民無視の姿勢は許されません。
羽田空港の低空飛行問題でも、区民からは不安や計画撤回を求める声が多数あがっています。区長は、議会答弁で「この計画は国の事業であり、国が決めたことだからやむを得ない」というだけです。しかし、重要な問題が起こったら区長自らが地域に入り住民の声を聞き、住民参加で物事を決めていく。これはあらゆる区政運営の根幹です。区民の声に寄り添ってこその区長であります。今進められている、区民センター見直し検討については、区民と行政の協働によるまちづくりという基本構想の方針を貫き、住民参加を徹底することを改めて強く求めます。

以上、反対する理由を5点述べました。
最後に申し上げます。10月から消費税が10%に増税されます。8%増税時と違って、駆け込み需要すら起きていない深刻な消費不況での増税です。区民のくらしの実態を一番よく把握し身近に感じているはずの目黒区として、いまやらなければならないのは、今回の増税でさらに追い詰められる低所得層や、子育て層、高齢者や障害者に全力で寄り添い、区民のくらしを守ることです。日本共産党目黒区議団は、消費税増税に引き続き反対し、住民のくらしを守る区政に転換するために全力を挙げることを表明して討論を終わります。
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