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党の政策

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第3回定例会で森美彦議員が行った2017年度決算の認定に反対する討論(全文)は以下の通りです。

29年度決算反対討論          2018/9/28 森                                   
 私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案第58号、平成29年度目黒区一般会計歳入歳出決算の認定に反対する立場から討論を行います。
 決算年度は、安倍政権によるアベノミクスの下で貧困と格差が拡大し、消費税8%の影響、実質賃金の減少、年金の引き下げ、社会保障改悪によって、家計消費支出は4年連続減少しました。貯蓄なし世帯は5割に近づき、区民の1割以上を占める低所得・非課税者をはじめ、高齢者から子育て世代まで、暮らしは深刻化しました。
 地方自治体の仕事は、困窮している区民に寄り添い、福祉を増進させることです。しかし、区民生活を支えるという立場からみて、いくつもの問題点をかかえた決算です。
 以下、反対理由を述べます。
 第1は、暮らしの負担増と切捨てを進めていることです。
 まず、国民健康保険料の値上げです。加入者の8割を年金生活者など無職の人や非正規労働者が占め、負担能力が低い条件の下で、国が補助金を削減してきたため、自治体が一般会計の繰り入れによって国保財政を支え、国民皆保険制度を守ってきました。
 ところが、この年、高額療養費への一般会計からの繰り入れを3分の1から4分の1に減らしたため、均等割、所得割とも大幅値上げとなりました。多くの子育て世帯で保険料が年収の1割を超えました。多子世帯ほど負担が重い子どもの均等割はなくすべきです。
高くて払えない保険料によって、4人に1人が滞納せざるを得ない状況が続いています。罰として資格証を発行していますが、お金がなくて医療にかかれず手遅れで命を落とす全国の事例が後を絶ちません。目黒の事例にしてはなりません。一般財源を投入してでも守るべき命は守らなければなりません。
 次に、保育料値上げです。
 決算年、区は、保育料値上げ方針を決定し、今年6月定例会に値上げ条例案を提出しました。これに対し、自民、公明、維新などが賛成し可決されました。総額1億円を超える負担増がふりかかっています。
 目黒区世論調査では「介護や育児の費用負担の軽減」が圧倒的に1位であり、保育料の値上げは、区民の願いに背きます。
 その上、物価も家賃も高い目黒区の条件を考慮していないこと。2人に1人が保育園に入園し、子育て支援の大切さが叫ばれる中で、受益者負担をことさら強調していること。保護者の声を聞く姿勢に乏しく説明会も行わなかったこと。何より、幼児教育や保育の無償化の流れに真っ向から逆らうものであることを強調しておきます。
 次に、障害者のリフト付き福祉タクシーの廃止です。
 決算年を限りに、区は、リフト付き福祉タクシーを廃止し、介護タクシー利用補助事業に一本化しました。通院などで利用していた人は、追加策を受けられたとしても、大きな負担増になりました。障害のある方への「合理的配慮」や障害者施策の充実を言いながら、命をつなぐ制度を廃止しないでほしい、という障害者の声を聴かずに廃止したことは許されない問題です。
 次に、生活保護基準の引き下げに反対しない区長の姿勢です。
 憲法25条で保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化したものが、生活保護基準です。政府は、この10年間で基準を1万3000円も引き下げた上、10月からの新たな削減によって、子育て世帯の4割が減額となります。
基準引き下げの理由について、国は、低所得10%層の消費水準が下がったからこれに合わせて引き下げるとしています。低所得世帯の暮らしを底上げすることこそ政治の役割ではないかと質したのに対し、区長は、5年に一度の見直しは否定されることではないと、引き下げを事実上容認しました。引き下げの連鎖をうむような生活保護費の削減に、区長は反対すべきです。
 なお、わが党の委員が質疑で取り上げた窓口対応の問題をみても、困窮した区民に寄り添う配慮に欠けているのではないでしょうか。
 第2は、区民に負担増を圧しつける一方で、実態をよく把握しないで税や保険料の差押をすすめていることです。
 滞納対策を一元化し、実態把握さえ不十分なまま、実質的な給与の差押ともいえる貯金通帳に振り込まれた給与の差押をしています。給与が振り込まれた通帳から国保料分約10万円、住民税分約4万円の差し押さえで、残金ゼロで生活費がなくなった、というわが党に寄せられた相談の事例を紹介し、生活できるルールと生活再建に向けた滞納対策のあり方を質しました。区民に負担増を圧しつける一方で、実態をよく把握しないで、区民の暮らしを壊してまで滞納整理をすることはあってはなりません。
 しかし、決算年の滞納対策のあり方は、紹介した事例にみられるように、生活に困窮してやむなく税や保険料を滞納してしまう人に寄り添っているとは言えません。
また、国保料と後期医療保険料の滞納者の臨戸訪問調査は、決算年に激減しましたが、滞納者の生活再建に向けたていねいな対応を進める上で問題です。
 第3は、保育の質、区立園民営化、待機児ゼロの問題です。
 保育の質の問題が鋭く問われています。保育の量も質も安心できるように何とかしてほしいと言うのが区民の要求です。決算年に整備した私立認可14園のうち13園が株式会社です。こうした私立園の保育士は、低賃金や職員不足による仕事量の多さと労働時間の長さに苦しみ、短期間で離職する人が多くなっています。
 先生が定着しない、思うような保育ができない、まさに日々の保育内容が問われる事態が広がっています。ところが、職員配置や財務会計、保育内容について、法定の指導検査体制が不十分です。2016年は、江東区98、新宿区36の全保育園において法定指導検査が実施されました。一方、目黒区では41園中わずか4園でしか行われていません。目黒区でも法定指導検査を実施し、低賃金や職員不足で離職の多い私立園を改善指導することは、目黒区子ども条例で謳う子どもの幸せを第1にすることではないでしょうか。
 世田谷区は、保育の質ガイドラインをつくり、人件費比率50%以下の私立園には補助金は出さないルールを定め、保育の質を守る取り組みをしています。法定指導検査体制と保育の質ガイドラインをセットでつくるべきです。
 区立保育園民営化の問題です。
 区は、決算年に中目黒保育園を廃止し、上目黒保育園、東山保育園の民営化計画を推進しました。
 この年の東京都保育ニーズ実態調査によれば、希望する保育サービスは、52%が公立認可園と答え、私立認可園39%を大きく上回りました。目黒区立保育園は、産休明け保育、障害児保育、延長保育、アレルギー対応などを先駆的に取り組んできました。また、医療的ケア児や発達障害児の保育、状況により困難ケース児童の受け入れもしています。まさに、区立保育園は、目黒区内全体の保育の質を押し上げる役割を果たしてきたのです。
 また、厚労省が設置した「保育の質の確保・向上に向けた検討会」では、区立保育園が重要な役割を担っていると報告されています。
廃止計画にある区立鷹番保育園は、新年度から0歳児の募集を中止し、定期利用保育に置き換える計画です。これでは、異年齢集団を大切にした保育内容が次第に崩されることになります。子どもを犠牲にする鷹番保育園の廃止計画は中止すべきです。以上の立場から、区立保育園を減らしていく民営化には断固反対です。
 待機児ゼロについてです。
 決算年の取り組みによって待機児は330人に減ったとされています。
しかし、認可保育園に入れなかった人は、依然として940人もいます。待機児率は23区1位。その上、都政新報によれば、目黒区は隠れ待機児童が前年比で152人も増えています。こうしたことを踏まえれば、取り組みを緩めることなく認可保育園を増設すべきであります。
 第4は、介護保険改悪の下での区独自負担軽減策の問題です。
 介護保険料・利用料の負担増と介護サービスの保険外しが高齢者や家族介護にのしかかっています。特養ホーム入所対象が原則要介護3になる中で、行き場のない高齢者が在宅で暮らしています。介護利用料2割になった人、特養ホームの補足給付がカットされた人を合わせ、目黒区では3000人を超す人が負担増となりました。また、決算年から要支援1・2の介護サービスは、介護給付からすべて外され、総合事業に移されました。
 介護基盤整備も不十分です。認知症グループホームや小規模多機能施設、都市型軽費老人ホームなど在宅介護を支える施策が計画どおり進まず不用額とされました。史上最高の不用額・基金残高に対し冷たい介護の状況を見比べた時、介護家族を支援する区独自の負担軽減策は不十分であると言わざるを得ません
 第5は、防災対策についてです。
 相次ぐ震災や豪雨災害から命を守るために措置された防災予算は、どれも緊急で重要なものばかリです。ところが、決算年、耐震化促進に関わる多額な予算を年度末に減額補正するとともに多くの不用額を出したことは問題です。
緊急財政対策で無料化をやめた耐震診断助成は、耐震診断も耐震改修も予算を残す状況であり、無料に戻すべきです。感震ブレーカーや火災警報器の更新経費などに多くの不用額が出ており、努力と工夫が足りません。
 その他の問題について簡潔に指摘します。
 その1は、地域コミュニティーの問題です。自治意識に支えられた個性豊かな地域社会の発展というこれまでの理念が、上からの助け合い、支え合いに変質されかねない傾向があります。住民自治の確立という基本構想の理念を堅持すべきです。 
 その2は、区民センター見直し検討についてです。「区有施設見直し計画」において、民間活力の積極的活用を進めています。民間活用にシフトする前に、徹底した住民参加で方向性を検討すべきです。
 その3は、児童虐待と児童相談所の問題です。
児童虐待ゼロに向けた取り組みが求められています。子ども家庭支援センターの専門職の増員と育成、子育て相談体制、子どもショートステイなど子育て支援を充実すべきです。また、児童相談所は、開設年度を明らかにした取り組みにすべきです。
 その4は、自由が丘127号線と一体まちづくりの問題です。
一部の地権者だけで密室で出来上がった計画を、区民に追認させるやり方は、避けなければなりません。情報の共有を図り、住民参加のまちづくりを進めるべきです。
 最後に、改憲問題です。安倍首相は、総裁選後、「いよいよ憲法改正に取り組む」と発言しました。この年、区長は、首相の改憲発言について、改憲やめよと意見表明をする立場にないと言いました。平和憲法擁護を謳った平和都市宣言区の区長として、きっぱり反対すべきであります。
 日本共産党は、何としても全力で憲法を守りぬく決意を述べ、決算の反対討論を終わります。

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