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目黒区情報化推進計画改定素案に対する意見を提出しました。

目黒区情報化推進計画改定素案に対する意見
2015年12月24日 
日本共産党目黒区議団
1.「国のICT戦略の歩み」「目黒区の現状と課題」に関して
今回の改定の大きな問題点は、マイナンバー制度の導入とこれを区が積極的に活用する方針を打ち出したことである。マイナンバー制度は、税、医療、年金、福祉、介護、災害など、これまで別々に管理されていた個人情報を1つの番号で紐づけするものである。膨大な個人情報の集積によりプライバシーを侵害される危険性が格段に高まっている。さらに利用範囲を資産情報まで拡大し、税や介護・医療に係る負担などの徴収強化を狙っている。また、秘密保護法や戦争立法とも相まって、公的機関による人権侵害の個人情報収集や国民監視社会の危険を高める。システムの構築や維持に係る経費も莫大である。
今回、区が提案している情報推進化計画改定素案は、総務省の「電子自治体の取り組みを加速するための10の指針」(2014年3月)の目黒区での具体化という側面が多々見受けられる。指針1は番号(マイナンバー)制度の導入に合わせた自治体クラウドの導入を加速するものである。
すでに多くの問題が露見しながらも推進されている番号(マイナンバー)制を、区として無批判に積極的導入を図る立場は改めること。
2.「計画推進の考え方」に関して
「デジタルデバイドへの配慮]が掲げられたことはよいが、具体策が極めて不十分である。区民の所得や障害の有無、年齢、性別など一切の差別なく、すべての人が高度な情報通信ネットワークを利用できるよう、区民の権利の保障を位置づけた計画にすることが必要である。
3.基本理念1「ICTを活用した区民サービスの向上」に関して
(1)ICTを利用していない(できない、しない)区民が不利益を被らないよう、従来の方式を併用すること。住民説明会等では、点字の資料を点字作成用パソコンで作成して必ず用意するなど、不利益を受けないよう徹底すること。各種計画案などの紙情報については、持ち帰れる分も区内施設に従来どおり用意すること。
(2)障害者にICTが新たな情報獲得意思伝達手段となるよう電子機器購入への助成を行うなど積極的な施策を講じること。
(3)各種説明会等で使用したパワーポイントの説明資料については、説明会に行けなかった人が自宅などでも見れるように音声付で公表すること。
(4)単純な申し込みや予約については、電子申し込み・予約もできるよう対象を拡大し、窓口での申し込み・予約と併用すること。
(5)区政におけるすべての公文書が誰でも簡単に検索できるシステムをつくること。
(6)各種統計、財務情報、事業実績については、詳細にわかるよう公表すること。例えば、予算・決算の公表については、わかりやすさとともに、議案レベル以上の詳しさでかつ経年変化もわかるよう工夫すること。
(7)PDF形式だけでなくワード形式やエクセルのようにグラフなどに利用できる形式でも提供すること。
4.基本理念2「ICTを活用した地域の活性化」に関して
(1)観光に偏るのではなく、中小企業振興条例に基づく、商工支援策をICT活用の面から何ができるのか、具体策を充実すること。
(2)住民自治の確立に向けた住民参加システムの構築やコミュニティづくりの視点からも、具体策を掲げること。
5.基本理念3「情報セキュリティ対策の強化」に関して
(1)民間への業務委託がすすみ、カウンター業務や滞納処理業務などを区職員に混じり遂行することが増えている。民間がICTを活用する場合のあり方を整理し、情報セキュリティ対策を強化すること。
(2)「情報セキュリティに対する監査を実施する」「監査の体制を充実」としている。「内部監査及び自己点検、番号制度関連システムを中心に監査を実施することや情報セキュリティに特化した外部監査も検討する」とある。に対する評価項目のチェックにおいても、安全性チェックに本当に根拠を持って判断されたものなのか信頼性が持てない。いい加減な○を付けるのではなく厳しく実質的なチェックを行うこと。例えば、情報セキュリティ対策は万全かというチェック項目が全部○とされていたにもかかわらず年金情報漏えい事件は起きたことを自治体のチェックにおいても教訓にすべきである。。
(3)アウトソーシングの拡大に伴い、区民の膨大な個人情報を一か所に集めそれを民間事業者に活用させることは、個人情報保護の観点からすべきではない。
6.基本理念4「ICTに関わる人材育成と効率的な情報基盤の整備
(1)定年前に早期退職する職員が多数出ていることについては、ゆとりのない無理な体制での情報化推進が、仕事の負担感増大の一因になっている。研修時間さえ不十分では、事務作業に支障をきたすだけでなく、住民の立場からのシステムの改善はとてもできない。自らの研修や業務内容の改善、人材育成を可能とする職員体制を保障すること。
(2)オープン化やパッケージ化によって、結果的にメーカーへの「丸投げ」となれば、安全安心は損なわれることになる。メーカーにシステム評価の点でもモノが言える人材を育成し確保することは不可欠である。
7.基本理念5「ICTを活用した環境への配慮」
(1)スマートシティの実現に向けて、取り組む具体策が乏しい。CОP21の目標に照らしても、施策の内容を充実させること。
(2)23区の焼却場への清掃車のごみ搬入指示系統にICTを活用することにより、焼却炉の規模を抑制し清掃工場のスリム化に向かうような案を示すべきである。
8.ICTの進展に応じて具体化を検討する情報化施策
(1)マイナンバー制度の展開
「マイナンバーの独自利用を検討し、可能なものから導入」とあるが、マイナンバー制度そのものに危険性が伴うため、「区民サービス向上」を理由にした区独自利用の拡大はやめること。
マイナンバー制度がはじまり「特定個人情報を保護するための情報セキュリティ体制強化と安全管理措置には万全を期する必要がある」としているが、世界的な視野で見れば、日本のマイナンバー制度そのものが、情報セキュリティ体制強化に逆行するものとなっている。
この見地に立って、自治体として国に批判的な提言をすべきである。「マイナンバー制度を積極的に利用」することを取り組み方針とすべきではない。
(2)高速データ通信サービスの普及による地域情報化
デジタルデバイドへの配慮や低減について、考え方や重点目標、取組方針としているのは当然だが、具体策が不十分である。
「目黒区の情報」には、行政情報の公開と積極的な開示を抜本的な高めなければならない。「区民が必要とする情報を速やかに提供できるよう内容を充実させます」とあるが、その内容、取組方針を具体的に明記すべきである。例えば、審議会等の会議録の開示が大へん遅い。予算や決算の全情報を開示すべきである。
9.最後に、
計画を拙速に実施するのではなく、慎重にかつ十分な区民合意を得ながら計画を練り直すことを求める。

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