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党の政策

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11月20日行った森美彦議員の一般質問(学童保育の増設と充実その他)の内容は以下の通りです。

 私は、日本共産党区議会議員として、区政一般について質問します。

第1は、児童館・学童保育クラブについてです。

 子どもたちの現状と課題は大へん複雑になっています。ひとり親家庭は、この20年間に6.6%へと2倍近く増加しました。子育て家庭の第1の悩みが家計の問題ですが、ひとり親家庭の子どもの貧困率は50%を超えています。こうした中で、目黒区の学童保育在籍児の16%がひとり親家庭です。
 児童虐待の増加も深刻です。都の調査によれば、虐待の行われた家庭の状況は、ひとり親家庭、経済的困難家庭、孤立した家庭の順で多くなっています。困っている時に相談する人がいないことは、子育ての悩みを一人で抱え込むことになります。同じ都の調査によれば、「困っているとき近所の人は助けてくれるか」という問いに、50%の人が「全く助けてくれない」と答えています。こうした状況について、学童保育学会のある専門家は「10年も満たない間に子どもを通じた人の行き来が急速に廃れてきた」と指摘しています。
 アレルギー児の増加は、都が3歳児の調査で、食物アレルギーに罹患したことのある子どもの割合が2009年は14%に達し、10年間で倍増したことがわかりました。こうした中で、アレルギー対応も複雑で大変になっています。今年もアレルギー事故が続発しており、児童館の調理活動や学童保育でのおやつの時には、万全のアレルギー対応が求められています。
 また、障害を持つ子どもの受け入れも多くなり、毎年30人を超えています。3人の障害児を受け入れている学童保育クラブが2年連続して4カ所あり、受入人数を増やす検討さえされています。学年延長も含め学齢障害児の放課後保障は切実な要求です。
このように子どもの課題が増えている中で、以下3点について質問します。
その1は、児童館・学童保育クラブの子どもたちへの対応の専門的な検討についてです。
放課後及び学校休業日に、保護者が就労等で保育できない子どもたちなどが、どの子も安全で豊かに成長できる環境を保障することは自治体の責任です。そのためには、専門的な立場から子どもの現状と課題を整理し、どのような対応が子どもの最善の利益にかなうのかを検討することが求められています。
 目黒区子ども条例に基づく子ども施策推進会議は、この1年をみても、児童館・学童保育に関わる議題はあまり扱われていません。児童館や学童保育を専門的に議論する場ではないからです。子ども施策推進会議の下に児童館・学童保育小委員会を設置して課題の整理や対応策を専門的に検討する考えはないか、お答えください。
 その2は、学童保育クラブの増設についてです。
 子どもの課題が多くなっている中で、定員オーバーによるつめこみがいっそう対応を困難にしています。共働き家庭やひとり親家庭が増加し保育ニーズが高まっている中で、今後学童保育を利用する児童が増えることははっきりしています。定員に空きがあるからといっても、児童が遠距離の学童保育クラブに通うよう振り分けることは、その児童の安全を考えればすべきことではありません。
 目黒区は、定員をオーバーする学童保育クラブ増えたため、24年度・25年度、定員を一時的に増やす暫定定員をすべての学童保育クラブでつくりました。ところが、暫定定員さえオーバーするクラブが今年度6カ所出ています。区は、こうした事態に対して、本来50人定員の学童保育クラブに対し7カ所では70人が受け入れ可能だとしています。鮨詰めの状態は、放課後の生活の場としてゆっくり過ごせる環境とは言えず、子どもの安全も成長も保障できません。
 安全でどんな子どもの状況にも対応できる保育の条件を確保するためには、定員を大きく上回るつめこみを解消する必要があります。そのためには学童保育クラブを増設するしか手立てはないのではありませんか、答弁を求めます。
その3は、学童保育クラブの民間委託についてです。
 区立の学童保育クラブは、保護者の就労の状況に合わせた「保育時間の延長」や子どもの状況に合わせた「障害児保育の受け入れ枠の拡大」など事業内容を拡充してきました。こうした事業内容の拡充においては、必要な職員体制の改善も区が責任をもって進めてきました。
 最近の子どもたちの傾向として、心の苛立ちやムカつきを抑えられない子どもが増える一方、ストレス発散や遊びとしてのいじめも後を絶ちません。目黒の学童保育クラブでも、子育ての悩みや児童虐待など時間外に保護者の生活改善に向けた対応が必要になるようなケースも増えています。
 こうした子どもと保護者をめぐる現状と課題がどんなに複雑になる中でも、どの子も安全で生き生き過ごせる学童保育の子ども集団をつくり、家庭や地域との協力を広げながら、子どもの成長する権利を保障できる学童保育になるよう、公設公営としての取り組みを、さらに充実することが求められています。
 目黒区子ども条例は、子どもの幸せ、子どもの最善の利益はなにかを第1に考えることを基本にしています。
 ところが目黒区は、これまで果たしてきた役割を投げ捨て、学童保育の経費削減や人員削減計画を、子どもの安全と成長よりも優先させようとしています。しかし、子どもの安全と成長よりも優先させてよいものなどあるでしょうか。
 児童館・学童保育の経費削減や常勤19人・非常勤15人の専門職員の削減を進めるために、区は1つの児童館と5つの公設公営学童保育クラブの民間委託を打ち出しています。子どもの課題が複雑になり、対応が厳しさを増している中で、学童保育の経費削減や人員削減を進めれば、子どもたちへの対応を一層困難にしてしまいます。
 子どもの安全と成長のために目黒区の学童保育を充実すべき時に、子どもの利益より経費・人員削減を優先する学童保育クラブの民間委託はやめるべきと思いますがどうか、お答えください。

第2は、安心できる高齢者の住まいの問題です。

 その1は、高齢者福祉住宅の増設についてです。
 「立ち退きを迫られているが年金が少なくて移るところがない」「貯蓄を食いつぶして高い家賃を払ってきたがもう限界」「年金も下がり続けるのでとても転居できない」など老朽化した劣悪な住宅に住み続ける高齢者は、毎日を不安の中で過ごしています。
ところが、今年も倍率は3.9倍と高く、高齢者福祉住宅はまだまだ不足しています。3度申し込んでも当らない方の生の声です。「アパートが古いうえ、日当たりが悪く隙間風が入って冬は耐え難い寒さ。引っ越したくてもお金もないし高齢者に貸してくれる民間アパートもない。高齢者福祉住宅だけが頼りだ」と言っています。住宅に困窮している高齢者が、安心して住み続けることのできる高齢者福祉住宅の整備は、切実な区民要求になっています。
 一方、目黒でも事業者の募集を始めたサービス付高齢者向け住宅には、いくつかの問題点があります。1つは、家賃が高いことです。区は、サービスを付けると12万から13万円を想定しています。都内では食費をつけると、20万を超えるものもめずらしくありません。年金だけでは、こうした費用をまかないきれません。2つは、サービス付と言っても、認知症や糖尿病など、持病のある高齢者の場合、受け入れてもらえないことが多いということです。3つは、食堂、台所、洗面所等を共同利用とすれば、最低居住面積25㎡の居室部分を18㎡まで小さくしてもいいことになっていることです。4つは、民間頼みで高齢者の要求に応えきれないという点です。
 こうした問題の多いサービス付高齢者向け住宅にシフトするのではなく、切実な要求になっている高齢者福祉住宅の整備を最優先すべきであります。住宅マスタープランの28年までの前期整備計画235戸に対し、残ったあと4戸も今年度中に達成するところまできました。しかし、まだまだ福祉的な対応が必要な住宅困窮している高齢者が多く残っていることの緊急性を考えますと、後期計画分の前倒しで増設を図るべきではないでしょうか。また、実施計画の改定の際には、33年までに270戸となっている住宅マスタープランの目標の超過達成を視野に入れた前倒し計画をつくるべきではないでしょうか、お答えください。
 その2は、区営住宅における孤立死防止の生活リズムセンサーについてです。
高齢者福祉住宅では、管理人や生活援助員LSAによる見守り体制とともに生活リズムセンサーが整備されているので孤立死ゼロが実現されている一方、高齢化が進んでいる一般区営住宅で孤立死が毎年2~3人出ていることは大きな問題です。今年もすでに2人の方が区営住宅で孤立死しています。このうちの1人は88歳で、9月に死亡から6日経って発見されました。心臓に持病を持っていた方で、一人暮らし登録をしていました。しかし、非常通報装置も生活リズムセンサーも、対象になるにもかかわらず設置されていませんでした。生活リズムセンサーなどが設置されていれば、早期発見で命が助かったかもしれません。非常に残念です。
 区が、80歳以上のひとり暮らし高齢者のために4月から導入した生活リズムセンサーは、区営住宅中で1世帯にしか設置されていないのが現状です。区営住宅に入居する一人暮らし高齢者に周知徹底するとともに、孤立死予防の観点から、病気や所得の低い高齢者が多い区営住宅においては、希望する65歳以上の高齢者に対象を拡大してはどうか、お答えください。

第3は、区内の再生可能エネルギーの抜本的な利用促進についてです。

 11月15日、日本政府は、温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減する排出目標を撤回し、「暫定的に」2005年比で「3.8%減」とすることを決定しました。国際的な基準となる1990年比では「3.1%増」という実質的な「増加目標」です。世界第5位の大量排出国としての責任を投げ捨てる態度であり、世界から批判を浴びています。日本政府は、過去40年間、処理するあてのない放射性廃棄物「核のゴミ」を生み出し続ける原発だのみのエネルギー政策を推進し、再生可能エネルギーの普及や低エネルギー社会への取組みに本腰を入れてきませんでした。「即時原発ゼロ」の政治決断を行い、再生可能エネルギーの急速で大幅な導入へ抜本的に転換することで、温暖化ガスの削減についても、意欲的な削減目標を掲げ、積極的な責任を果たすべきであります。
 原発ゼロと地球温暖化対策を進める上で、再生可能エネルギーの抜本的な利用促進は自治体としても重要な課題になっています。また、地域経済や雇用の創出でも大きな効果を発揮します。
 さて、東京都は、今年4月に新たな組織として「都市エネルギー部」を立ち上げ、取組みを強化するようです。県段階で先進的なのが、4月に策定された「長野県環境エネルギー戦略」です。再生可能エネルギー導入量、再生可能エネルギー発電設備容量などについて、2020年度、2030年度、2050年度の目標値を定めています。
日本共産党区議団は、自然エネルギー100%を目指す自治体である高知県梼原町や地域自然エネルギー基本条例を制定し市民と協働で取り組んでいる滋賀県湖南市を視察しました。目黒区でも再生可能エネルギーの利用を大きく促進するために、全国の先進自治体の実践も踏まえて、以下提案します。
 その1は、再生可能エネルギーの振興を目的にした条例制定についてです。
自然エネルギーは地域の宝であります。目黒区として、区民や団体を生かして再生可能エネルギーを振興することを目的にした条例を制定してはいかがでしょうか。また、その条例に基づいて、目黒区、エコめぐろ推進協会、地域金融機関、専門家に地域住民が参加する「目黒区再生可能エネルギー事業化検討協議会」を設立してはどうかと考えますが、お答えください。
 その2は、再生可能エネルギーの年次目標を立てた取組みについてです。
千葉大学公共研究センターとNPО法人環境エネルギー政策研究所の共同研究によれば、東京都は経済活動が盛んでエネルギー消費量が多いため、再生可能エネルギー自給率は全国最低ですが、太陽光パネルを設置できる建物も多く、東京の太陽光エネルギーの潜在力は全国1であります。
 長野県飯田市では、太陽光発電の高額な初期費用を、飯田市とおひさま進歩エネルギー株式会社が連携し、初期費用をゼロ円にする仕組みを考案し、普及を促進しています。
世田谷区では、地域エネルギープロジェクトに着手しました。区と「世田谷サービス公社」は、太陽光パネルを大量一括購入し、区民が安価でパネルを設置できる「ソーラーさんさん事業」を行い、屋根を活用して生み出すエネルギー、名付けて「ヤネルギー」による地産地消、小規模分散型の発電網の確立など様々な取組みを行っています。
 こうした先進自治体の例にならって、太陽光発電の飛躍的な普及促進を図るなど、年次的に再生可能エネルギーの種類や発電量の目標を立てた取り組みを行うことに踏み出してはどうか、お答えください。

第4は、JR跡地の売却についてです。

 10月29日、3年ぶりに開催された「まちづくり懇談協議会」において、出席者から「売却には反対だ」「説明もなく突然売却。大へんに遺憾だ」という厳しい意見が出されました。
 区民不在、区長トップダウンで決定した緊急財政対策に基づき、行革計画では、JR跡地は「売却を含む検討に取り組む」ことを決定しました。その後、東京都と1年半事務レベル協議を行った結果、「信頼関係が築かれた」として、売却に向けた依頼文書を提出しました。都との信頼関係の前に区民との信頼関係はどうなっているのでしょうか。行革計画のパブリックコメントでも「売却するな」「防災緑地に使え」「福祉に使え」という意見ばかりでした。区は、区民の声や継続中の売却反対の陳情さえ無視して、強引に進めようとしています。
 JR跡地売却に向けた東京都への依頼事項の中で、区は、財政健全化に向けたアクションプログラムに基づく財源確保の必要を売却方針への変更理由の第1にしています。
 しかし、財源確保目標額は、すでに初年度から超過達成するとともに、歳入も見込みより大幅に増収しています。その結果、緊急財政対策の初年度から43億円もの史上最高の黒字決算となり、売却理由は完全に崩れています。さらに、総務省が全国の自治体財政が健全であるかどうかを判断するために決めた4つの指標は、すべて健全であり、この5年間の数値は、連続して目黒区は財政的な豊かさを増していることを示しています。
 JR跡地は、18年前に都区で32億円ずつ出して、国鉄清算事業団から公的住宅用地として安く購入した土地です。8500㎡という広大な土地は2度と手に入りません。福祉や防災に活用するという当然の使い方を歪めたまま放置してきた挙句、貴重な公有地を売却することには大義も道理もなく、区の説明は何一つとして説得力がありません。
 一方、JR跡地を利用して実現すべき切実な区民要求は山積しています。土地さえあれば建設費には国や都の補助金も出る特養ホームや保育園、高齢者福祉住宅、区営住宅などの福祉や防災緑地など緊急重要課題にこそ使うべきではありませんか、区長の答弁を求め、壇上からの質問を終わります。

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