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区議会第1回定例会 岩崎区議が代表質問を行いました。

開催日:平成25年 2月19日
会議名:平成25年第1回定例会(第2日 2月19日)
○25番(岩崎ふみひろ議員)  私は、日本共産党目黒区議団を代表して、区長の所信表明と区政運営に対し質問を行います。
 1点目は、悪化する区民の暮らしを支える区政を進める課題です。
 デフレ不況と言われる経済悪化のもと、賃金や年金収入の減少で区民の生活は厳しさを増しています。現在、自民党・公明党政権が復活したもとでの国会論戦が行われており、安倍内閣の経済対策に多くの国民・区民が注視しています。しかし、安倍首相自身、日本経済の危機を叫び、金融緩和や財政出動など、3本の矢の対策で強い経済を取り戻すと言いましたが、危機の原因は何か、なぜ日本経済がデフレ不況に陥っているのかという分析は一切ありません。
 デフレ不況の最大の原因は、働く人の所得が減り続けてきたことです。国税庁の民間給与実態統計調査によると、民間労働者の年間の平均賃金は、消費税が3%から5%に増税された1997年当時は467.3万円でしたが、2011年には409万円へと減少しています。こんな賃下げ社会にした責任は、大企業のリストラを放置し、労働法制を改悪して、非正規雇用を拡大した歴代自民党政権にあります。
 日本共産党は、国政の場では、国民の所得を奪う消費税増税などを中止すること、大企業・財界の身勝手な賃下げ・リストラを政治の責任でやめさせること、人間らしい暮らしを保障するルールの確立の3つの決断を求めています。同時に、区においては、緊急財政対策、行革計画による区民生活切り下げ、受益者負担の名のもとに、施設使用料や保育料を引き上げるなど、追い打ちをかける区政こそ改めるべきだと考えます。
 区内の子育て世代の間でも、所得が伸びず、年少扶養控除がなくなり、事実上の増税という中で、新年度からの保育料値上げが話題になり、生活を一層切り詰めなければといった声が上がっています。
 高齢者の間では、年金収入が減少していくもとで、老老介護の世帯では、介護利用料の負担が大きく、週4回のデイサービスを週2回に減らし、在宅での介護で疲れ果てている。それなのに、自己負担アップや切り下げなのかといった不安が広がっています。
 そこで、第1問は、2012年度最終補正予算案では、区税収入や特別区交付金などの増額補正になっています。こうした状況を区民生活支援に生かすためにも、緊急財政対策を見直し、使用料、保育料の引き上げを撤回すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、2問目は、区民の暮らしを支える上で、特別養護老人ホームの増設を民間任せにせず、直ちに増設に踏み出すことが求められていることです。
 区は、1,000人前後の待機者がいながら、区立第4特養ホームの建設をやめ、民間に増設を委ねるという計画で、区民の切実な要求の実現が延び延びになっています。介護される人が高齢者になればなるほど、介護する人の年齢が上がり、要介護度2であっても、90歳代になれば、介護する人も70歳代になり、孫の手をかりなければならないくらい大変です。ましてや、要介護度4、5になれば、もはや家族介護や在宅介護では困難です。こういった世帯が、取り残されているのが目黒区の現状でもあります。
 都は、新年度予算案で、5,400人分と、不十分ながらも、一時期に比べれば大幅な増設計画を立てています。福祉保育関連の労働組合の調査によると、決算が確定している2011年度段階で、目黒区は、65歳以上の高齢者に占める待機者は2.03%と23区の中で7番目に比率が高く、全国的に東京の待機率が高い中で、それにも増して比率が高いのが目黒の現状です。これ以上のおくれは許されません。直ちに特養ホームの増設に踏み出すべきだが、いかがでしょうか。
 そして、3問目は、子育て世代にとっては、待機児解消のため、思い切った認可保育園増設計画が必要です。
 区は、この4月に、私立認可保育所の開設、保育園の定員拡大、グループ型小規模保育事業の拡充により、さらに108人の定員増加を進めるとしています。新年度に向けた認可保育園入所の第一次募集では、800人を超える子どもが選から漏れました。そういう状況を見れば、現状の対策の延長線では不十分であり、2014年度までに待機児をゼロにするという子ども総合計画に掲げた目標の達成も、このままでは危ういのではないですか。
 保育園は、ただ単に保育に欠ける子どもを預かる場所ではありません。幼児期は成長・発達のためにも重要な時期であり、集団保育の人格形成における役割は大きいものがあります。だからこそ、多くの保護者は、認可保育園に子どもを預けたいとの願いを持っています。こうした集団保育をきちんと保障できる認可保育園の増設こそ、待機児解消を進める上でもかなめにすべきです。都は、新年度予算案の中で、認可保育所の定員を4,400人ふやす計画を立てていますが、こうした措置を生かし、思い切った認可保育園増設に踏み出すべきだと思いますが、お答えください。
 2点目は、雇用と仕事確保に向け、地域経済の発展のために本腰を入れる必要があるのではないかといった問題です。
 1問目は、地方自治体でも条例制定が広がっている公契約制度についてです。
 公契約制度は、言うまでもなく、行政側及び行政と契約を結ぶ受託事業者が、賃金、労働条件を守る責務を負う制度をつくることで、条例でその基準を定めます。現在、非正規雇用など、低賃金で雇用されている人が多くなっている中、行政の仕事を委託している業者で働く人たちの中にも、低賃金で働かされるといった実態が広がっています。
 区の委託業者で働く人たちの中にも、時給が最低賃金に近く、生活が極めて厳しいといった状況も広がっています。こうした状況を克服するために、自治体が、公契約において、最低賃金を独自に定めることの必要性が強調されています。区の仕事を請け負う建設業の労働者からは、都が定める設計労務単価が、生活実態から見ても低く、積算の根拠を実態に合わせてほしいという声が上がっています。
 労働条件の整備など、雇用対策の強化は、もちろん国や都が率先して行っていかなければなりませんが、区が公契約において生活できる賃金や労働条件を定めることは、公共サービスの質を向上させ、地域経済の活性化にもつながり、区民や行政にその成果が還元され、大変有意義な制度ではないでしょうか。ですから、首都圏でも、千葉県野田市を皮切りに、川崎市、多摩市、相模原市、国分寺市、そして23区でも、渋谷区で条例が制定され、世田谷区でも、条例制定に向けて取り組みが進んでいるところです。
 私は、5年前の2008年第1回定例会の一般質問で、公契約条例の制定について質問しました。そのときの区長答弁は、区の事務の対象外となる事項を規定することはできないのではないか。また、条例をつくっても、国の法律が優先的に適用され、制定する実質的意味合いが薄いのではないかという趣旨のものでした。しかし、賃金など、労働者の労働環境と公共工事の品質、公共サービスの質を守るために、公契約制度は必要だと、条例制定の流れが広がっていることや、公契約条例において、最低賃金法を上回る賃金の支払いを義務づけることは、政府の見解でも問題になるものではないとされていることからも、制度確立への障害は全くないのではないでしょうか。
 公契約制度の具体化に向け、区としても計画を早急に立てることを求めますが、いかがでしょうか。
 第2問目は、区有施設の老朽化対策を雇用と地域経済発展に生かしていく問題です。
 区は、区有施設の建てかえ、大規模改修、計画修繕のために、今後10年間で711億円の経費を試算しています。全国的に、公の施設の老朽化問題がさまざまな角度から検討され、目黒区と同様に、白書をつくって、対策を検討している自治体も数多くあります。
 その中で、施設の維持補修は、一般的に事業規模が小さいため、中小業者が受注しやすい特徴があることから、区有施設の改築や改修、修繕については、財政的な負担を伴うだけの問題として捉えるのではなく、産業と雇用を守るための地域経済対策としても、位置づけようという動きもあります。区は、区内中小業者への優先発注など、契約制度の改善を行ってきていますが、これを二歩、三歩と進めるために、区有施設の老朽化対策を雇用と地域経済発展に生かすため、区と区内業者のプロジェクトチームをつくるべきだと思うが、お答えください。
 3点目は、職員削減と民営化で行政の責任が果たせるかという問題です。
 区は、財政問題を口実に、経費や人件費の削減といって、行革計画で、2012から14年度の3年間で、200人の職員を削減する計画です。福祉系、技能系の退職不補充、児童館、学童クラブ、保育園など子育て部門の削減など、地方自治体として、福祉、子育て、防災を支える部門の職員削減を大規模に行い、民営化をどんどん進めようとしています。そこで、2つ伺います。
 1問目は、区立保育園の民設民営化、すなわち区立を廃止し、私立にする計画についてです。
区は、今回の私立化による区立保育園廃止計画の期間を新年度から22年度までの10年間とし、対象園は、上目黒、中目黒、東山、鷹番の4区立保育園としています。1園目の私立化の時期は、2016年度を目途とし、各園の個別スケジュールは、私立化実施の3年前に示すとしています。また、区立でありながら、指定管理者制度によって社会福祉法人で運営している目黒、中目黒駅前、第二ひもんやの3保育園については、指定期間の満了時点で私立にする方針です。
 こうした計画は、大きな問題があります。その一つは、区民に対して全区的に均一な保育を提供する行政の責任を後退させてしまうことです。区は、待機児解消に向けた保育所の拡充とともに、働き方に合わせた保育時間の延長など、今後も、多様な保育ニーズに応えていく必要があることを課題として挙げ、こうした課題を民間保育園に委ねようとしています。しかし、本来、待機児の解消や区民の多様な保育ニーズに応える体制をつくることは、保育事業の実施主体である目黒区が率先してやらなければならない仕事です。これまでも、目黒の区立保育園は、地域や保護者と結びつき、連携して、産休明け保育や障害児保育に先駆けて取り組み、アトピーの幼児の特別給食をつくったり、子どもの日々変わる体調に即した給食を保障するなど、大きな役割を果たしてきました。
 同時に、民間の認証保育園の園長は、こうした公立の保育園を物差しにして、自分の保育園の水準をどう高めるか努力していると話しているように、区立保育園が民間保育園の保育活動を牽引してきました。
 現在、社会福祉法人による保育園の運営は、国や東京都からの補助金などが減らされるなど、苦労しながら保育活動をしています。努力しても、職員の人件費の削減を余儀なくされ、若い保育士が短期間でやめてしまい、保育活動の蓄積が思うようにいかないなど、課題を抱えています。こうした公私間格差も解決していないのに、区立保育園を廃止し、私立の保育園にしてしまえば、区立保育園の果たしてきた成果を掘り崩し、目黒全体の保育活動を低下させてしまうのではないでしょうか。
 2つ目は、区は、民間保育園になれば、待機児の解消につながると言っていますが、区立保育園を廃止して私立にしたところで、目黒全体の保育園の数がふえるわけでもなく、待機児解消には全くならないことです。
 3つ目は、区民、保護者の多数は、区立保育園に子どもを預けることを望んでいることです。
 厚生労働省の調査でも、74%が公立保育園へと回答しています。区民が区立保育園に対して絶大な信頼感を寄せている中で、区立保育園を廃止していくことは、明らかに区民の要望と相入れません。区立を廃止し私立にしてしまう計画は撤回すべきだと考えますが、お答えください。
 そして、2問目は、職員削減計画は見直すべきです。
 3年間で200人削減する計画の中には、前述した区立保育園の保育士の削減を初め、学童保育クラブや児童館の退職不補充と民営化、障害者施策の分野でも下目黒福祉工房やすくすくのびのび園の退職不補充による削減など、めじろ押しです。今後の保育園や学童保育クラブ、特養ホームなどの福祉施設の増設については、区直営ではなく、民間に委ねる計画ですが、東日本大震災では、福祉や子育て分野の自治体職員が、発災時の避難誘導や施設利用者のフォローなど、冷静に、的確に対応し、改めて自治体職員の役割が、欠かせないことが実証されました。
 技術職についても、目黒では足りていません。被災地では、本格復旧に技術職員が不足していることが問題になり、応援は来ているが、多忙な業務に対応できないとの声が上がっています。災害時の対応を考えると、必要な職員を十分に配置しない限り、復興への妨げになることは明らかです。行革計画による職員削減計画は見直し、福祉、子育て、防災、技術職員を手厚く配置すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 4点目は、自助・共助の一方的な強調で、行政の役割を曖昧にしてはならないという問題です。
 現在、国でも地方自治体でも、社会保障や防災など、あらゆる分野で、自己責任や国民の支え合いを意味する自助・共助を強調し、公的責任を縮小する姿勢を示しています。行政のやることには限界があるから、自分で何とかしろ、地域で支え合え、それで対処できないものに限って行政が対処するというものです。こういう方向では、自治体としての役割を到底果たすことはできないと考え、以下、質問します。
 1問目は、防災における自助・共助の問題です。
 現在、全国的に地域防災計画の修正が行われています。そこでの基本姿勢は、都や区の修正案を見ても、災害時は、公助、すなわち国・県・消防・警察など公的機関によるものには限界があるので、自助、すなわち自分の命は自分で守ることと、共助、すなわち自主防災組織やお隣近所で助け合うことで対応をというものです。
 区の修正素案でも、そのポイントは、自助・共助の推進が第一に掲げられ、第1章の基本理念の部分でも、区は、地震による災害から一人でも多くの生命及び貴重な財産を守るために、みずからの生命はみずからが守るという自己責任による自助の考え方を第一の理念に掲げています。一方、公助の役割については、区長の責務として3項目書いてあるだけで、明確な責務と具体的な役割に言及していません。結局、自助・共助の強調は、行政の防災対策が不十分なことを正当化し、行革や職員削減を一層進める口実なのではないでしょうか。
 自分の命は自分で守ることや、地域で支え合い、助け合うことはもちろん必要ですが、建物の耐震強化や不燃化など、大地震から被害を最小限に抑える震災予防対策は、個人や地域では限界があり、行政の役割を曖昧にしてはなりません。首都直下型地震への備えを強めるためにも、行政が、震災予防とそのかなめである建物の耐震化促進に責任を持つ立場を明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 2問目は、高齢者福祉、介護対策での自助・共助の問題です。
 区は、地域包括ケアの推進として、地域での高齢者の見守りボランティア事業、認知症サポーターの養成、地域住民の協力を前提とした災害時の要援護者支援などを行っています。しかし、町会役員や民生委員など、高齢化が進み、地域の対応だけでは限界があります。複雑なケースになると、区の担当部局や包括支援センターの支援が必要になります。これらの区民支援を本気になって進めていくためには、行政が、核になって責任を持って進めていくことがどうしても必要になります。自助・共助の枠にとどめないためにも、地域包括支援センターを2倍に拡充して、地域に責任を負える体制にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 5点目は、区有施設見直しにおいて、住民の参加を徹底させる問題です。
 現在、多くの自治体で、公の施設の老朽化が進み、目黒のように、施設白書などをつくって、施設のあり方や改築・改修経費の問題で、見直し論議が進んでいます。老朽化した施設の改築・改修は、急いで対応しなければなりませんが、施設の老朽化を口実に、施設のリストラや行革計画を大規模に進めていくといった事態も起こっています。
 そういった中でも、神奈川県相模原市では、施設白書作成や施設見直し計画の策定段階においても、パブリックコメントや市民アンケートを実施し、施設利用者や地域住民の意向を慎重に聞く姿勢をとっています。このように、区有施設の見直しは、財政やコスト面だけではなく、区有施設が持っている役割や、地域や団体との関係、コミュニティー形成の場など、公の施設ならではの面を考慮しなければなりません。そのためにも、住民参加に基づく行政と地域との粘り強い対話と合意形成が不可欠であると考えますが、区にはその観点が欠落しています。
 そこで、1問目、区は間もなく施設白書を区民に公表しますが、行革やコスト論の分析だけでなく、施設が果たしてきた歴史的な役割、区民の要望なども盛り込み、白書の内容をもっと多角的にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 2問目は、区民を中心にした検討に切りかえていくために、施設白書の作成を受け、区民アンケート、パブリックコメントを行うこと、また各施設の利用団体との懇談会の開催、利用団体や区民が参加する検討組織をつくるべきですが、どうでしょうか。
 さらに、施設の老朽化対策を急ぎながら、現在の施設見直しスケジュールを見直すべきだと思いますが、答弁を求めまして、壇上での代表質問を終わります。(拍手)
 〔青木英二区長登壇〕
○青木英二区長  岩崎議員の5点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
 まず、第1点目、悪化する区民の暮らしを支える区政についての第1問、緊急財政対策を見直し、使用料、保育料の引き上げを撤回することについてでございますが、緊急経済対策として、現在、取り組んでおります財政健全化に向けたアクションプログラムは、区の歳入が大幅に減少する中にあっても、区民サービスを安定的に提供し、区民生活を支えるための財政基盤を確かなものにするための取り組みです。アクションプログラムに取り組む以前は、財源活用可能な積立金を全て取り崩しても、なお平成25年度予算で、25億円ほどの財源不足に陥る見込みでしたが、直近の推計では、平成25年度末の時点で、財源活用可能な積立金の残高として、約62億円を確保できる見込みとなっております。
 今年度定めた財政運営上のルールでは、過去の経験などを踏まえて、今年度末の財源活用可能な積立基金の残高が、最低でも60億円を維持することとしておりますので、このルールは達成できる見込みにあるものの、経常収支比率の高どまりや、新たな区民ニーズへの対応、区有施設の老朽化問題など、財政上の課題がございます。施設使用料や保育料については、利用される方と利用されない方との負担の公平性の観点からも、利用者の方に応分の負担をしていただくものであり、予定どおり平成25年度から見直しを実施してまいります。
 なお、区民生活を支えるための喫緊の課題への対応については、今後御審議いただく平成25年度補正予算第3号及び平成25年度当初予算案に、できる限り盛り込んでいるところでございます。
 次に、第2問、特別養護老人ホームの増設についてでございますが、特別養護老人ホームの整備につきましては、待機者も多く、区としても喫緊の課題であると認識しております。しかしながら、区立特別養護老人ホームの建設には、多額の経費を要すること、まとまった用地の確保が必要なことから、区が特別養護老人ホームを新たに整備することは、なかなか難しい状況がございます。
 こうしたことから、今後の特別養護老人ホームの整備につきましては、民間事業者を活用して、整備を図ることとし、目黒区実施計画改定後において、平成28年度から定員が120名程度の特養ホーム1カ所の整備を掲げているところでございます。整備に当たりましては、国や都の補助金を活用するとともに、区有地・都有地・国有地等の活用や区の建設費補助などにより、事業者の整備を支援してまいりたいと存じます。
 また、一方で目黒区の高齢者の生活に関する調査では、自宅で介護を受けたいという意向の方が、6割を超えていることから、在宅サービスの充実に努めているところでございます。本年1月から、医療的ケアや緊急時の対応が必要な要介護高齢者が、在宅生活を続けることができるよう、24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業がスタートしたところでございます。また、在宅での生活が困難な認知症高齢者の増加に対応するため、本年度、認知症高齢者グループホームにつきましては、9ユニット、定員81人の整備を行ったところでございます。
 今後とも、高齢者の状況に応じたサービスの選択肢をふやし、できる限り住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域密着型のサービスを初めとする介護基盤の整備を進めるとともに、特別養護老人ホームの早期実現に努めてまいりたいと存じます。
 次に、第3問、待機児解消のため、思い切った認可保育園増設計画を立てることについてでございますが、保育所待機児童対策は、区民の皆さんが安心して暮らしを営む上で、重要な施策の一つとして認識しており、これまで、認可保育所の新設、定員の拡大などにより拡充に努めてまいりました。就学前人口と要保育率の増加により、今後も高い保育需要が続くことが見込まれており、引き続き待機児童数ゼロを目指した取り組みを行ってまいります。
 平成21年度から4年間で、歳出ベースで21億円余、一般財源ベースで14億円余の経費を用いて、600名を超える定員増に取り組んでまいりました。厳しい財政状況の中ではございますが、保育所待機児童対策は、区の重要施策の一つと位置づけ、着実に取り組みを進めたところでございます。平成25年4月には、新たな私立認可保育園の開設、グループ型小規模保育事業の拡充などにより、昨年4月との比較で108人の定員増を実施してまいります。さらに、この4月に新設する私立認可保育園において、開設初年度に見込まれる4歳児、5歳児の定員のあきを利用した定期利用保育園の実施、認可保育所の定員拡大など、さまざまな手法を用いて、さらなる待機児童対策に取り組んでいく計画としております。
 なお、東京都は、平成25年度予算案において、待機児童対策を含めた子育て環境を充実させる施策を推進することとしておりますが、現時点では具体的な補助の仕組みの詳細が示されておりません。今後、東京都の示す補助制度の内容を十分に精査し、保育所待機児童対策の推進のため、積極的に取り組んでまいります。
 次に、第2点目、雇用と仕事確保に向け、地域経済の発展のために本腰をの第1問、公契約制度の具体化に向け、区として早急に計画を立てることについてでございますが、公契約条例につきましては、その趣旨は理解しているところでありますが、そもそも労働者の賃金等の労働条件に関しては、一定の法整備がなされており、労働行政が国に属していることから、労働条件向上のための規制の問題は、国全体の政策として実施すべきであり、基本的には法律により対応すべき問題であると認識しております。このことは、千葉県野田市でも、この問題は、一自治体で解決できるものではなく、国が法整備を行うことによってのみ解決できるものであると指摘しているとおりで、本区としては、その実効性の問題もあり、現状、研究課題としているところでございます。
 しかし、平成21年の野田市での制定以来、全国7自治体で、主に、東京、神奈川で制定が進んでおり、平成24年には、23区でも渋谷区で、また直近では、昨年末に神奈川県厚木市でも制定されていることは承知しておりますので、本区としても、引き続き研究・検討を進める必要があると考えているところでございます。
 一方、区としても、労働者の労働環境の確保は重要であると考えており、法令遵守の徹底や最低制限価格の設定によるダンピングの防止、入札参加資格要件としての特定建設業の許可などに取り組んでおりまして、引き続き労働者の労働環境の確保に努めていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、公契約条例に関しましては、本区の外部有識者で構成する入札監視等委員会でも、他の自治体の状況などをお示しして検討いただいているところでありますので、引き続き研究・検討をしてまいりたいと考えております。
 次に、第2問、区有施設の老朽化対策を雇用と地域経済発展に生かすため、区と区内業者のプロジェクトチームをつくることについてでございますが、確かに、さきにお示しした目黒区施設白書案では、区有施設の更新経費として、今後10年間で約711億円と試算しているところでありまして、今後の区有施設の更新にかかわる改修や修繕に当たりましては、その大きな部分を区内業者の皆様に御協力いただけることになると考えているところでございます。区といたしましては、議員御指摘のように、地域経済発展のため、低迷が続く地域経済状況なども考慮した上で、区内業者の育成、支援に積極的に取り組んでいるところでありまして、具体的には、議会や業界などの要望も踏まえつつ、工事案件について、予定価格1億5,000万円までは、区内業者限定で行うとともに、最低制限価格の引き上げや総合評価制度の見直しなども行っているところでございます。
 そこで、議員御指摘の区と区内業者のプロジェクトチームについてでありますが、区では、これまでも、区内の関係団体の皆様とさまざまな懇談の機会などを通じて、御意見・御要望やお考えなど、多岐にわたって伺っており、可能な限りその反映に努めているところでありますので、引き続きこのような場を活用しながら、種々の課題を検討し、対応してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今後、実施することとなる区有施設の改修などに当たりましては、地域経済発展の観点も重要課題と認識して取り組んでまいります。
 次に、第3点目、職員削減及び民営化の実施と行政の責任についての第1問、区立保育園の廃止、私立化計画の撤回についてでございますが、区立保育園の民営化につきましては、昨年3月に策定いたしました行革計画におきまして、土地・建物の無償貸与等も含めた民営化の具体的な計画を平成24年度中に策定することとしたところでございます。そこで、昨年11月に、計画素案を取りまとめ、保護者・区民の皆様に、その内容を御説明するとともに、御意見・御要望を伺ったところでございます。
 計画素案の内容といたしましては、平成25年度から平成34年度までの10年間を実施期間とし、この期間内に、老朽化により改築等を要する区立保育園4園の民設民営化とするというものでございます。区が施設整備を行う場合は、国・東京都からの補助がないことから、手厚い補助がある社会福祉法人による整備を行うことといたしました。また、指定管理者制度を用いて運営している3園につきましても、指定期間終了等の時期に、受託法人の評価とともに、指定管理者制度を継続していくか否か、そのあり方を検討することとしております。
 今後、いただいた御意見・御要望を踏まえながら、計画を取りまとめてまいります。
 なお、私立の認可保育園の運営につきましても、保育所保育指針に基づいて行われており、保育水準が保たれておりますが、区も巡回指導等により支援してまいります。非常に厳しい財政状況が続くことが予想される中、待機児童対策のための新たな保育所整備や、老朽化した区立保育園の施設環境の改善などの保育に関する課題をより効率的に解決するためには、民間活力を適切に活用することが不可欠であると考えております。
 次に、第2問、行革計画による職員削減計画を見直し、福祉、子育て、防災、技術職員などを手厚く配置することについてでございますが、基礎自治体である目黒区にとって、区民の福祉増進や災害対策を進めていくことは、当然の責務であると認識しております。しかし、財源に限りがある中で、職員数を必要以上に増加させることは、喫緊の課題への対応や、新たな施策の実現を賄うための財源不足を招くこととなり、社会経済状況の変化に的確に対応し、区民生活を守り、支えていくことの妨げにつながってまいります。
 今、区に求められていることは、民間でできることは民間に任せ、行政が直接担わなければならない事業に、人材を重点的に配置することによって、職員定数の適正化を図ることであり、限られた財源を最大限に効果的・効率的に活用して、区民の暮らしを守り、支えていくことであると考えてございます。このような考えのもとで、行革計画に基づき職員数の見直しを進めていることから、福祉などの部署であることだけを理由に、職員を手厚く配置する考えはございません。
 次に、第4点目、自助・共助の一方的な強調で、行政の役割を曖昧にしてはならないについての第1問、行政が、震災予防とそのかなめである建物の耐震化促進に責任を持つ立場を明確にすることについてでございますが、震災予防は、自助・共助・公助のいずれにも欠かすことのできないものであると認識しております。
 その一方で、建物は、個人の所有物であり財産ですので、自助としてのみずからが、その財産を安全に維持管理することが所有者に課せられた責務であると認識しております。そうは申しましても、阪神・淡路大震災の教訓から、建物の耐震化を促進することは、国民の生命を守り、迅速な震災復興を進めるために重要なことであるとされることから、個人所有の建物の耐震化助成に高い公共性があると認められ、耐震改修に関する助成措置が講じられたものでございます。
 そこで、区といたしましても、耐震改修促進計画におきまして、住宅建築物の耐震化は、自助・共助・公助の原則を踏まえ、建物所有者によって行われることを基本とし、区は、建物所有者が、主体的に耐震化の取り組みができるよう、技術的・財政的な支援を行うと、行政の立場を明確にし、その計画を実現するため、実施計画におきまして、耐震化を促進するための事業量を設定しているところでございます。
 今日、首都直下地震などの発生の切迫性が高まっていると言われておりますので、区民一人一人の生命を守り、地震による被害を最小限にとどめるため、建物の耐震化を着実に進めてまいる所存でございます。
 次に、第2問、包括支援センターの増設についてでございますが、地域包括ケアを推進していくためには、自助・共助・公助のいずれもが必要であり、現在の社会状況のもとでは、とりわけ共助を育んでいくことが重要な課題であると考えております。このため、平成23年度に改定いたしました保健医療福祉計画では、地域における新たな支え合いの仕組みづくりを施策の方向として掲げているところでございます。
 地域包括支援センターでは、高齢者の地域での安全・安心な生活を支える地域包括ケアシステムの中核機関として、公的なサービスとともに、ボランティア、NPO、地域住民などによる支え合いも含め、さまざまな地域資源のコーディネーターとして、高齢者の自立した生活を支える役割を担っております。このため、その充実・強化を図ることが求められており、保健福祉医療計画の中でも、地域包括支援センターの機能強化を掲げ、昨年4月には、計画に基づいて、地域連携コーディネーター及び認知症支援コーディネーターを各センターに配置したところでございます。
 今後とも、地域包括支援センターの充実・強化を図っていくことが必要であり、第5期目黒区介護保険事業計画では、地域包括支援センターの設置数について、より効率的・効果的な運営を実現する観点から検証していくものとしておりますので、第6期の介護保険事業計画に向け、その検証作業を進めていく所存でございます。
 次に、第5点目、区有施設見直しにおける住民参加の徹底についての第1問、施設白書の内容を多角的に、についてでございますが、区有施設の見直しにつきましては、行革計画に区有施設の現状と課題として記載しておりますとおり、区有施設の老朽化が進む中で、施設の維持管理や、今後、見込まれる改修・改築等の経費的な課題が多いことから、中・長期的な視点で、区有施設のあり方を検討し、施設に係る経費を抑制していくことが必要なため、進めているところでございます。
 現在、作成中の目黒区施設白書につきましては、具体的な区有施設の見直しを検討するために、区有施設の現状と課題について明らかにすることを目的とした基礎資料となるものです。そのため、区有施設の老朽化の現状や維持管理経費、今後、見込まれる改修・改築等の経費的な課題を主な内容として、客観的なデータを記載しているところでございます。一方、全ての施設は人口増加や区民ニーズに的確に対応するために整備してきたものであり、また設置目的に沿って区民福祉の向上のための利用がなされていますので、施設白書には、区の基本構想、基本計画等の記載や、各施設の設置目的や業務内容についても記載しています。
 区有施設の見直しに当たっては、施設の現状と課題について、区民の皆様の御理解をいただくことが重要であり、施設白書は区有施設の現状と課題についての見える化の手法であります。そのため、区有施設の見直しに必要な情報については、可能な限り掲載をして、作成を進めているところでございます。
 なお、施設白書は一部の区民要望を掲載する性格ではないものと考えております。
 次に、第2問、区民アンケート、パブリックコメントの実施や、区と区民の検討組織についてでございますが、区として初めての区全体にかかわる重要な取り組みでもある区有施設の見直しについては、節目節目において区民の皆様の御意見等を伺いながら進めていく必要がございます。そのため、今後、施設白書を作成した段階で、内容を公表し、区民意見を募集してまいります。また、平成25年12月に議会報告を予定している区有施設見直し方針(中間のまとめ)の段階で、区のパブリックコメント手続要綱に基づき、パブリックコメントを実施いたします。
 区有施設見直しに向けた検討組織につきましては、庁内組織は昨年7月から、区有施設見直し有識者会議は昨年10月から開催し、検討を重ねてきています。検討組織への区内団体等の参加につきましても、設置要綱、要領等の中で、出席を求め、その中で意見・要望を聞くことができるよう進めて、定めているところでございます。
 また、区有施設の見直しの手続、手法等につきましては、今後、有識者会議における御意見なども十分踏まえながら、平成25年度末の区有施設見直し方針の策定に向けまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、現時点において、施設見直しスケジュールを変更する考えはございません。
 以上、お答えとさせていただきます。
○25番(岩崎ふみひろ議員)  再質問をさせていただくんですが、区立保育園を私立にするといった問題なんですが、さっきのお答えの中では、区立保育園の役割についてどう考えているのかといったことが不明確でした。区立の職員は、公務労働者ということで、地域住民に責任を持つ役割があるわけですよね。これは民間の私立の保育園とは違うところだと思います。もちろん、民間保育園でも、地域の父母などと力を合わせて、保育活動をやっているというところもありますけれども、やはりそういう部分というのは、公立ならではの活動だと思います。
 公立保育園というのは、保育士も、ベテラン、中堅、若手ということで、バランスよく配置をされていて、それでお互いに保育をどういうふうに進めていったらいいのかという、そういう蓄積なども、将来を見越して、計画をすることができるという部分もあると思うんです。ただ、今の時点で、こういう公立のかけがえのない役割があり、一方では、民間では、区のほうも、実態はつかんでいるとは思いますけれども、やはり少なからず若い保育士が、短期間でやめてしまうといったような問題があって、なかなか若い保育士に、それまでの保育の蓄積が、なかなか伝えられないといった状況があるわけですよね。
 こういった区のほうで、きちんと公務員が責任を持っている区立保育園が、22園地域に根差してあるということは、これは財産だというふうに思うんですね。そういった部分について、これを私立にしていくということは、掘り崩していくということですから、その辺については、区長はどう認識をされているんでしょうか。
 それと、あと公立保育園の整備費や運営費については、国や都の補助金がなくなったということで、区立保育園の整備は難しいということもおっしゃっているんですけども、確かにそういう状況はあります。これは、もともと国が悪いんですけれども、保育のための補助金を三位一体改革といって、地方に税源移譲して、なかなかその補助金の使途が、見えにくくなったという問題があり、そういう部分は国の不当な部分だと思います。
 東京都も、やっぱり国が地方に財源移譲をしているからといって、区立保育園や地方自治体の公立保育園に補助を出そうとしていないという実態も、私たちも都のほうに申し入れに行って感じたところですけれども、ただこのように国や東京都が保育への補助を年々減らしているという、そういうのは、私たちも大変不当だと思うんですが、これを理由にして、公立保育園の整備は難しいということを言い続けるというのは、結局、区自体が、そういうやり方を認めて、国や東京都に責任を押しつけて、結局、区のほうでは、公立の整備は放棄しますよと言っていることにほかならないんではないでしょうか。そういった国や都の言い分にくみしてしまうかということについてもお伺いします。
 それから、職員の問題なんですけれども、先ほどの答弁では、必要以上に増大させることは妨げになるという趣旨の答弁でしたけれども、しかし必要以上に増大させるということではなくて、むしろ今の段階で大変足りないというのが実態じゃないでしょうか。
 例えば技術職の問題で言うと、退職不補充という方針が出されて、例えば技術職が係長をやっていて、それがごそっと抜けるようなことになると、あとの体制づくりに響いてしまうという声は現場からも出ていると思うんです。特に、技術職ですから、職員の人数をそろえれば、それでいいといった問題ではなくて、一定の教育の期間も必要で、実際、仕事で裁量が振るえるようになるには、時間がかかるというのが実態だと思うんです。そういった長い目で、職員をどう育成していくのかといった問題で、もう既に障害が出てきているわけですから、必要以上に増大をさせるというのは、今の実態から見ても違うのではないでしょうか。
 そういう意味では、今のこれは技術職だけでなくて、いろんな区の全般的な仕事の中で、こういった問題が起こっているわけですから、これは必要以上に増大させるということどころか、足りないわけで、これはやはり見直すということが当然ではなかろうかと思いますが、それについてもお伺いします。
 以上です。
○青木英二区長  それでは、3点ですので順次お答え申し上げたいと思います。
 まず、1点目の保育園の、ごめんなさい、区立の役割です。
 私ども、区立の役割については3つありますが、時間の関係で1つだけ申し上げますが、やはり区立として中核の役割を担うというのはおっしゃるとおりです。そういう点で、私ども、職員の研修や人材の中心的役割を今までも担っていますし、これからもきちんと担っていく。それは、例えば、民間の園と私ども公立の園が、例えば合同の園長会を開くとか合同の会合を開いて、それを広げていくというようなことは、しっかりとこれからもやっていく課題だというふうに思っております。
 それから、私どもは、これは、区長会として、国や東京都に、保育行政でも言うべきことは、きちんと言っていくということは、これは御指摘のとおりですし、別に議員に言われないまでも、日々やっているつもりでございます。ただ一方、とはいえ、今、現実問題として、これは、私ども、建てかえの際には、これは、区としての建てかえの場合は、補助が出ないということは、今お話を申し上げているとおりでございます。これが、財政負担、総合行政ですから他の施策に大きな財政負担がかかっていくということも、これは否めない事実でございます。ですから、私どもとしては、今後、建てかえ時期に、4園については民営化を進めていくというような今、考えを基本的に持っているところでございます。
 それから、技術職系、技術職や先ほど1回目の御質問で出ていました福祉職等のお話ですが、これは、私としては、目黒区全体の職員定数、今、私ども、30年度当初に1,900名というのを目指しておりますけれども、これは、全体の中で、当然、事務系だってあるわけですから、技術系だけの話ではありません。私どもとしては、全体の定数管理、定数の適正化の中で、それぞれ技術職はどうあるべきか、事務職はどうあるべきか、そういったことを検討しているということでございます。

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