日本共産党目黒区議団 > 党の政策 目次 > 党の政策 詳細

党の政策

▶ 一覧に戻る

第二定例議会 石川恭子議員が一般質問を行いました。

  私は日本共産党目黒区議団の代表として、区政一般について大きく3点質問します。
 まず最初の一点目は、住民が安心して暮らせるために介護と医療の充実についてです。

 先日総務省は、この10年間で低所得者層と高所得者層が増加し「二極化が進展している」と指摘し、年収200万以下の階層は、1997年以降の10年間で1.3倍に増加しました。
 こうした状況の中で、自民・公明党前政権は社会保障費の自然増分2200億円を毎年削減し、医療や介護など制度の改悪を繰り返してきました。その結果、社会保障制度から社会的弱者が真っ先に排除され、暮らしを守るべき制度が逆に、負担増や給付削減で国民の生活苦を増大させています。OECDの調査によると、日本は、社会保障・税負担を加えた可処分所得の貧困率は先進国中トップレベルで、「所得の再配分」という社会保障・税制の機能が損なわれ“貧困格差が解消されない国”となっています。
国民がまともに暮らせる社会保障の改革が喫緊に求められていますが、民主党政権になっても医療や介護などもと通りになっていません。基礎的自治体として住民の福祉を向上させるために以下3つ質問します。

  第一は、区独自で利用者が必要とするホームヘルプサービスの新たな整備を設けることについてです。
 介護保険制度が導入され、10年になります。しかし、高い保険料や利用料、特養ホームなどの施設の不足、介護現場の人材の不足など「保険あって介護なし」といわれる深刻な事態が広がり、家族の負担は重くなっています。家族介護などを理由に離職した人は、06年の1年間で14万4千8百人に上ります。
 老老介護や認認介護は当たりまえとなり、家族介護者の介護うつや、介護心中や介護殺人が起きています。介護保険の改善が早急に求められますが、現行介護保険では、低い介護支給限度額、同居家族による制限などがあり必要な介護を受けることができません。
 日中独居で、家族が朝早くから仕事をしていて一番困るのは、食事の温めと配膳しかしてもらえないことで、家族は昼食を作って出かけなければなりません。ある二人家族の息子は半月仕事の出張で家を空けました。ひとり残る要介護2の母親は、呼吸疾患があり座っていても苦しい状態で、何とか介護保険で食事を作ってもらうことは出来たものの、掃除や洗濯はやってもらえず、息子が帰宅後やることとなり大変でした。
 介護保険では、通院介助はできても、原則病院内の院内介助はできません。病院内で排泄や水を飲む時、介護保険で認められるといいますが、トイレと水を飲む時間だけで前後の時間は認められず結局利用することができません。介護保険では、利用者が普通の生活が過ごせるその場に応じた援助はなかなか受けられません。08年目黒区の介護保険改定のための調査でも、「必要な援助が受けられない」と区民の声があがっています。
 渋谷区では安心して豊かな生活が送れるようにと、区独自のホームヘルプサービスを設けました。独自の生活援助サービスでは同居家族がいることで制限されている洗濯などのサービスを受けることができ、独自の外出介助サービスでは院内介助を受けることができ、多くの人が利用しています。こうしたサービスは、介護保険同様の利用料で利用でき介護保険に上乗せし活用されています。目黒区でも、介護利用者が安心して暮らせるためにホームヘルプサービスを区独自に設けるべきだと思いますが伺います。

 第二は、高齢者の医療費助成についてです。
 民主党政権は、公約であった後期高齢者医療制度の廃止を先に延ばし、さらに姥捨て制度の対象を65歳以上に拡大しようとしています。度重なる医療改革によって、医療費窓口負担は現役世代は3割、高齢者は1割から3割となりました。
EUなど先進諸国では、窓口負担は無料か低額負担でこんな高い国はありません。さらに医療外の入院時の給食費や差額ベッド代などの負担も増えています。昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所は「健康ではなかったが、医療機関に行くことができなかった」の理由のトップは「自己負担が高い、経済的な理由」が38.4%も占めていると発表しました。高い医療費負担は受診抑制を起こし、高齢者の健康を脅かし、病気の重篤化につながっていきます。
 区内の医療機関でも、2週に一回の受診者が月に1回になるなど受診抑制が起きていいます。現役世代と比べ、医療にかかる割合の高い高齢者は圧倒的に年金生活者です。ある一人暮らし高齢者は介護・医療保険料を差し引いた年金は約10万円。ここから住宅費を支払い、整形外科や眼科等複数の診療を受けていますが、眼底出血による治療で時々1万8千円の医療費を支払わなくてはならず、その負担は生活費に重くかかってきます。
 日ノ出町では75歳以上の医療費の無料を実現しましたが、医療費無料は早期の受診を促し、健康管理など高齢者の福祉の増進と介護予防につながるものです。75歳以上の医療費の助成を行うべきだと思いますが伺います。

  第三は、子宮頸がんワクチンの無料接種をおこなうことについてです。
 子宮頸がんの予防ワクチンが完成し、先進諸国では公費による接種が行われています。国内でも公費によるワクチン接種の声が高まり、国は予防接種法に位置付けるかどうか審議を行っています。こうした中で、独自にワクチンの一部・全額を助成する自治体が増え、4月には全国35自治体で取り組まれ、東京でも杉並と渋谷区が実施します。
 東京都は今年度から自治体が子宮頸がん事業にかかった費用の2分の1を負担するとしています。目黒区でもこれを活用し、全額助成によるワクチン接種を行うべきだと思いますが伺います。

  大きな二点目は子どもの健やかな成長のためについてです。

  目黒区は、子どもの最善の利益を掲げた「子ども権利条約」を踏まえ、「子ども条例」を制定しました。子どもを権利行使の主体として、子どもたちが生き生きと元気に過ごせる街の実現を目指すとしています。改めて、子どもの最善の利益の立場から質問します。

 第一は、子ども家庭支援センターの虐待防止体制の強化を行うことについてです。

1989年、国連総会で「子ども権利条約」が採択され、初めて虐待や養育の怠慢から子どもを保護することが盛り込まれました。日本は新たに「児童相談所運営指針」をだし、児童相談所が通告を受け対応した児童虐待件数の統計を取り始めました。
 1990年度は1100件、16年後の2005年度は30倍以上の3万4000件、2008年度には4万件を超しその急増はすざましいものです。児童虐待は、児童福祉法では対応することができず2000年に児童虐待防止法が制定されました。
 虐待が起こるその背景には、貧困、ひとり親家庭、夫婦の不和、育児疲れ、地域からの孤立等がからんでいますが、最も大きな要因は「貧困」と「孤立」です。育児能力の低下・核家族化が進む中で地域の中で孤立する親は増えています
 養護施設や児童相談所の職員は、孤立する親への支援の重要性を訴えます。虐待には、身体的虐待、育児放棄のネグレクト、性的虐待、心理的虐待がありますが、虐待は子どもの人権を著しく侵害し、心身の成長人格形成に大きな影響を与え、未来を担う世代の育成にも懸念を及ぼすものです。虐待をはじめ子どもに関する相談・対応は、児童福祉法に基づき、都道府県が設置した児童相談所が行っています。
 都内には児童相談センターを含め11か所の児童相談所があり、目黒区は、品川児童相談所の管轄となっています。児童相談所の中で虐待について対応するのは児童福祉司ですが、非行や不登校などの児童相談も扱い、全国で年間30数万件に上る相談を1800人余りの児童福祉司が対応しています。
 2006年虐待による児童の死亡は126人にも及んでいますが、児童相談所が関与していたのは2割、そのうち虐待を認識していたのは4割です。日本と同様の相談件数があるイギリスでは児童福祉司と同様のソーシャルワーカーは日本の3倍もおり、増え続ける虐待に対応するには児童相談所の増設と職員体制の強化が重要です。
 区には、児童相談所と連携し児童虐待相談などを行っている子ども家庭支援センターがあります。センターは、2006年に先駆型センターとしての役割を担うこととなり、虐待通告の窓口として通告があったときは、48時間以内に子どもの安全確保と家庭状況などの確認を行います。
 昨年の虐待通告は126件、そのうち虐待は24件。残りのケースも虐待には及んでいないものの未然に防ぐために親への支援が必要で、対応をしていかなければなりません。しかし、数字で表れているのは氷山の一角です。
 子ども家庭支援センターは、虐待児童に対する対応と同時に未然に防ぐ役割があり、学校や保育園との連携、孤立している親への育児支援など、様々な支援に結び付けていく体制づくりが求められます。しかし、センターの職員体制は他区に比べても弱く、虐待のほかにも産後支援などの在宅支援も行っています。子ども家庭支援センターの強化が求められます。子どもの人権を守り、虐待を防止するために

 一つ目は、児童相談所の増設と、児童福祉司などの専門職を増やし体制を強化するよう国や都に働きかけるべきだと思いますが伺います。  二つ目は、子ども家庭支援センターの機能を強化するために、児童福祉司など職員の増員を行うべきだと思いますが伺います。

   第二はよりよい保育の質を確保するためについてです。
 区立保育園は、戦後4つの都立保育園から始まり、その後区に移管され保育需要が増す中で増設が行われ今日に至りました。施設の数だけではなく目黒の保育は「量も質も」と、保育関係者・保護者・行政が力を合わせ作り上げてきました。
今では当たり前になっている産休明け保育や延長保育も、保護者の要求にこたえ職員が学習を積み重ねる中で実施し、障害児保育、23区では唯一全園に栄養士の配置、添加物を使用しない給食のなど、よりよい保育を行うために区独自の職員を配置し、全国に誇れる内容となっています。
 ところが国の構造改革路線の下で効率性を優先した民営化が推し進められてきました。公立保育園の運営費補助が一般財源化される中で、全国的に公立保育園は増設されるどころか削減され、社会福祉法人しか運営ができなかった認可保育園に営利目的の株式会社が参入できるようになりました。
 さらに、東京では認可保育園の職員配置や施設基準よりも低い認証保育園などを認めその下で急速に増え、認可保育園の不足のなかで認証保育園に入らなければならない現実となっています。一部の認証保育園では、職員数のごまかしや補助金の不正受給、子どもの事故や死亡なども起きており、その保育内容のチェック体制はきちんとできてはいません。目黒区でも待機児解消・効率化の下で民営化が進められようとしていますが、よりよい保育環境を確保していくために、

 まず一つ目は、待機児解消は認証保育園ではなく区立直営の保育所を整備すべきだと思いますが伺います。
 二つ目は、認可保育園の誘致に当たっては社会福祉法人で行うことについてです。
 保育の質は、保育者の専門的な知識とチームワークと積み重ねられた経験の中で確保されます。だからこそ「保育は人」ともいわれ人材確保が重要で、保育運営において人件費が主要に占めています。今年、待機児解消のために緊急に株式会社による認可保育園の整備が行われました。しかし、株式会社は営利を目的とし、営利を追求し効率性を求める企業では、保育の質の確保はできません。今後認可保育園の誘致に当たっては株式会社ではなく社会福祉法人で行うべきだと思いますが伺います。
 三つ目は、区立保育園の給食についてです。保育園の給食は、素材を使いだしをとり加工品や添加物を使用せず、安全と安心のもとで作られ全国でもトップクラスの内容となっています。
 離乳食をはじめアレルギー食、一部の食品を除去する宗教食、体調に合わせた病児食など多様化し、保育園によっては10種類もの形態の食事が短時間の下で作られます。これは、栄養士と調理師の専門性と技術に加え、保育士も参加し日々の学習や細かな打ち合わせによって積み重ねられてきたものです。民営化では給食の質の担保はできません。給食の民間委託は止めるべきだと思いますが伺います。

 大きな三点目は、誰もが住み続けられる目黒についてです。

 昨年度の調査では、目黒区内にある区営・区民住宅、都営住宅などいわゆる公的住宅は区内世帯数に対しその割合は1.1%で、文京区と並び23区の中で最下位となっています。
 区民が住み続けたいと思っていても、公的住宅が少なく、地価が高く、民間賃貸家賃の高い目黒では、とりわけ弱者といわれる低所得者をはじめ高齢者や障害者、子育て層などにとっては住み続けることはできません。区内に安心して住み続けられるために質問します。

  まず一つ目は、住み替え家賃助成を廃止することなく、利用しやすいように制度の拡充を行うことについてです。
 先日開かれた住宅政策審議会で示された見直しのたたき台によると、住み替え家賃助成について定住対策として実施され区民の住宅支援として重要な役割を果たしてきたと評価しながらも、バブル期の不当な立ち退きの対策として「公平性から新規の募集を中止する」とし、住み替え家賃助成の廃止の方向を打ち出しました。
 住み替え家賃助成は、高齢者世帯等住み替えと中堅ファミリー世帯住み替えがあり、高齢者等住み替え家賃助成は、民間住宅に暮らす高齢者、障害者などを対象に、賃貸住宅建て替えのための取り壊しや、著しい老朽化のための転居に対し家賃助成をするというものです。ところがこの制度は見直しが行われる中で条件が厳しくなり、利用者は減り昨年は4人となっています。中堅ファミリー世帯も同様で面積基準と世帯人員に応じた所得基準があり十分活用されていません。高齢者などにとって住宅困難な状況はバブル時期だけではなく今日も続いています。住み替え家賃助成を廃止することなく制度の拡充を行うべきだと思いますが伺います。

   二つ目は公的住宅の増設についてです。
 JR跡地は、公的住宅を整備する目的で都と区で32億円ずつだし購入した区民の財産です。この土地に、当初区は区民住宅・高齢者福祉住宅など83戸、都は都営住宅101戸を計画していました。
 ところが都が、都営住宅の新規着工を止め、民間主導の住宅政策に大きく後退・変更する中で、目黒区も区民の土地を50年以上の定期借地権で民間誘導による開発を計画しています。当初の計画を大きく後退させ実施計画では区民住宅10戸、高齢者福祉住宅20戸となってしまいました。家賃が高く住み続けられないと、区外に転出する人も出、さらに経済の悪化や社会福祉の後退などによって、公的住宅の整備が今まで以上に求められている中で、区の姿勢は区民の願いに背くものです。JR跡地計画については、当初の目的どおり、公的住宅を中心とした整備を行うべきだと思いますが伺います。簡潔な答弁をお願いし、私の壇上からの一般質問を終わります。 

このページの先頭へ ▲