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2008年 第一回定例区議会 一般質問

2008年第1回目黒定例会 一般質問
                            日本共産党 星見てい子
 日本共産党目黒区議団の一員として、医療と介護の問題で一般質問をおこないます。
質問の第1は、高齢者の医療の問題です。
 4月から始まろうとしている後期高齢者医療制度に、批判の声がわき起こっています。1月末までに、政府に「見直し」などを求める地方議会の意見書は500を超えました。批判が広がっているのは、この制度が、75歳以上の人を、いま加入している医療保険から脱退させ、際限のない負担増と差別医療を押し付ける医療に投げ込む大改悪だからです。
 まず問題なのは、高い保険料の徴収です。東京の後期高齢者医療制度広域連合は、一般財源投入による保険料軽減を決め、一部の年金所得者の保険料を引き下げましたが、その他の低所得者や中堅所得者は、現在の国民健康保険料より値上げとなります。また75歳以上はひとり1人から保険料を取るために扶養家族がいる世帯は大きな負担になります。扶養家族には緩和措置期間をとりますが、これが過ぎれば結局、負担増です。しかも、保険料は2年ごとに改定され、医療給付費の増加や75歳以上の人口増に応じて自動的に引きあがる仕組みで、将来の値上げは確実です。また、保険料は、年金天引きされます。年金額が月1万5千円未満の人は直接納付ですが、滞納すると保険証をとりあげられる制度である命にかかわる問題です。
 この過酷な保険料徴収に加えて、保険で受けられる医療の内容も差別・制限されます。厚生労働省は、高齢者が受診できる医療機関を1人1ヵ所に限定することや75歳以上の診療報酬に定額制を導入し、保険が使える医療に上限をつけようとしています。病院が手厚い治療をおこなうと赤字となり、医療内容を制限せざるを得なくなります。また、終末期医療でも75歳以上の患者から「過剰な延命治療を行わない」という誓約書をとったり、「在宅死」を選択させて退院させた場合には、病院への診療報酬を加算したり、いっそうの「病院追い出し」をすすめる内容です。
高齢者への医療を抑制することは、「現役世代のため」などといいますが、とんでもないことです。政府の導入のねらいは、いわゆる「団塊の世代」が「後期高齢者」となった時、2025年度の医療給付費を56兆円と推計し、これを8兆円削減することが目的です。そのための国民負担増と給付抑制の仕組みが「後期高齢者医療制度」です。いまの高齢者はもちろん、将来、高齢者となるすべての国民から医療を奪いとる改悪です。
 日本医師会は昨年、「後期高齢者医療制度」の全面的な見直しを求める見解を発表し、開業医の半数を超える10万人が加入する全国保険医団体連合会は、後期高齢者医療制度の廃止法案提出などを求めています。区内の医療関係者からも見直しを求める声が多数あがっています。日本共産党目黒区議団は、区民のみなさんと「制度の中止を求める」署名を集め、国会に提出しましたが、この中でも「『長生きをしてすいません』と言うような日本にしないでほしい」「苦労して戦後の日本を作ってきたのに、75歳を過ぎたら死ねというのか」など区民から不安と怒りが寄せられました。
Q1)区長は、目黒区民の健康といのちを守ることに責任を持つ自治体の長として、この後期高齢者医療制度の中止を国に求めるべきです。区長の答弁を求めます。
次に高齢者への医療費助成制度の創設について質問いたします。

 4月から実施が予定される医療改悪、高齢者いじめは、これにとどまりません。政府は一時凍結といっていますが70〜74歳の窓口負担を、1割から2割へと2倍に引き上げます。また、「療養病床」を23万床に削減する病院追い出も、2008年度から本格化します。政府が進めてきた増税による負担増に加えて、医療や介護が高齢者の生活を経済的にも圧迫しています。区内の高齢者からも「保険料と病院の負担で、夫婦の年金2か月分がなくなる」「夫がもらってきた薬を夫婦で分けて飲んでいる」「薬を飲む回数を1日3回から2回にし、病院にいく回数を減らしている」などすでに深刻な事態が広がっています。70歳代で糖尿病の治療を受けている女性は、現在、医療費が1割負担ですが、他の治療を含め月約1万5千円の医療費を払っています。「糖尿からくる合併症で眼科や神経科と通院が増えています。医療費が2割で2倍になったら通院を減らすしかなくなり、いのちを削るようです」と話していました。4月からの医療改悪で更なる負担増が高齢者に押し付けられれば、「お金の切れ目がいのちの切れ目」となる高齢者を次々と生むことになります。
 目黒区として何ができるかを考えなければなりません。日本共産党目黒区議団は、昨年、医療助成制度の研究のため、乳児と高齢者の医療費を全国ではじめて無料にした岩手県旧沢内村を視察しました。昭和30年代まで豪雪で貧しかった農村が、保険・医療の充実によって、一気に発展しました。この実践が、全国に乳幼児と高齢者の医療費無料制度を広めました。この旧沢内村は、国の医療改悪や合併のもとでも「住民のいのち最優先」を貫いていました。合併後も「65歳以上は、1ヶ月の本人の自己負担は通院1500円、入院は5000円まで、非課税世帯には医療費を全額無料」という独自の医療費助成制度を作り上げていました。合併後の西和賀町長は「今後も、町民のために沢内病院と医療を守って行くつもりです」と語っていました。この西和賀町は、町の予算の約2割を医療に当てています。大変な努力です。目黒区に換算すると約50億円。自治体の長として何が最優先課題であるか、住民とともに考えて作り上げられた制度です。今、目黒区でも、区民の命を守る防波堤としての役割を自治体として発揮できるかどうかが、住民から問われています。そこで質問いたします。

Q2)区民のいのちを守るために、高齢者の医療費負担増を緩和する区独自の高齢者医療助成制度の創設が必要です。4月からの国の動向や区内の高齢者の医療実態もよく調査し新たな制度導入のための検討を行うべきです。区長の答弁を求めます。
 次に、大きな2つ目として、介護の問題について質問します。
2006年に介護保険制度と介護報酬の相次ぐ「改定」によって、訪問介護の短時間化や生活援助の時間制限が強められ、給付適正化や自立援助の名目で、利用者への生活援助が必要以上に制限されて家族に介護負担が強いられるケースが多発しています。区内でも深刻です。7年前に脳出血で入院したことがある83歳の一人暮らしの女性は、要介護でホームヘルプの家事援助を利用してきました。ところが、介護保険の改正後、要支援1に認定が下がり、利用時間が短くなったことに加え、ヘルパーがきても見守りだけになり、無理をして本人自身が家事をすることになりました。今もめまいや足がつるなどの症状があり、ヘルパーもいない時は、転倒を避けるために這って家事をする状況で、いつ病気が再発するか不安な生活をしいます。
 また、同居家族がいる場合は、生活家事援助が使えなくなっています。日中働き、夜しか帰らない家族であっても一律禁止です。介護度5で寝たきりの93歳の母親を一人で看ている50代後半の男性は、介護保険だけでは日中の介護ができないと自費負担でヘルパーを使っています。1時間2000円から3000円で、残業が多く夜の介護ができない時は、介護費用だけで月70万円になります。「貯金は、どんどんなくなって行くが、今の生活を維持するかで必死。僕の老後は、たぶんありません」と語っていました。また、高齢者による老老介護でも深刻な状況が広がっています。弟と2人くらしの80歳の女性は、少しは室内を歩くことができたため要介護一の認定になりました。ヘルパー派遣などが縮小されたため、ケアマネージャーに介護保険サービスでは足りない分を自費のヘルパー利用でまかなうよう進められましたが、費用が都合できず断りました。結局、無理な家事負担により心臓発作と圧迫骨折を起こして、わずか一年間で寝たきりの要介護五になってしまいました。 
 区長は、介護保険の改正を、「過剰な家事援助が、高齢者の生活能力奪い介護度を上げる状況がある」私は昨年6月議会でも、この問題を取り上げました。この時、区長は、「サービスの見直しは、高齢者の尊厳の保持と自立支援という介護保険の基本理念を踏まえ設定されたもの」として国の介護保険改悪を肯定し、「介護サービスは介護保険制度の中で対応する」と、必要な介護が受けられない状況が区民の中に広がっていることを無視する答弁を行いましたが、区内の例を紹介したとおり、要支援認定者や同居家族がいる場合などで必要なホームヘルプサービスが受けらないことが、大きな社会問題になっています。目黒区には、昨年4月からはじめた、銭湯や美容室などへの付き添いのホームヘルプがありますが、通院にも使えず利用者は4名に留まっています。これだけでは、とても足りません。渋谷区では1月から、「くらしにあった必要な介護サービス」を受けられるように、要支援や同居家族がいる場合も使えるホームヘルプ制度が始まりました。介護保険サービスに付加して1時間200円程度の費用負担で使える区独自のホームヘルプサービスなどです。区民が安心して介護を受けられるようにするために、目黒区でもこうした制度が必要です。
Q1)区長は、現在、改正された介護保険サービスによる影響をどう受け止めているかお聞きします。また、不足する介護保険サービスを補う区独自のホームヘルパー制度を創設すべきです。答弁を求めて、私の一般質問を終わります。

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