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党の政策

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2018年度目黒区一般会計予算案にたいする松嶋議員の反対討論

 私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案第20号、平成30年度目黒区一般会計予算案に反対の立場から討論を行います。
安倍政権による経済政策、アベノミクスが始まってから5年がたちます。大企業への連続減税、公的年金や日銀の資金を使った株価つり上げによって、大企業の利益は2.5倍に増え、内部留保は400兆円を突破し、株主への配当金は1.7倍以上に増えました。富裕層と大企業のもうけを増やした一方で、国民には消費税増税をはじめ、社会保障の連続改悪を押し付けてきました。働く人の賃金は、大企業の従業員でも給与は5年で4.1%しか増えず、物価の伸びを下回っています。中小企業やパートを含む全労働者では平均実質賃金は安倍政権発足時に比べて年収ベースで16万円も低下しています。アベノミクスによって貧困と格差が広がっていることは明らかです。いま目黒区がやるべきことはアベノミクスの下で置き去りにされた低所得層、子育て層、高齢者や障害者などに寄り添い、くらしを守る立場で、国に言うべきことを言い、区民の願いを実現していくことであります。しかし、目黒区新年度予算はあべこべに国の社会保障削減と軌を一にして区民の願いを切り捨て、負担増を強いる中身になっています。以下、反対の理由を4点述べます。
 反対する第一の理由として、福祉や区民生活をどう守るかという区長の姿勢の問題です。
その一は、今年4月からのリフト付き福祉タクシーの運行中止です。突然の運行廃止に利用者から「あまりにも乱暴すぎる」「利用者の声を聞いてほしい」と怒りの声が上がっています。リフト付き福祉タクシー事業は、1988年に実施され、障害者の通院やリハビリだけでなくひろく社会参加を促進する障害者差別解消法のさきがけのような事業です。それを、廃止によって大変な負担増になる利用者がいるにもかかわらず、突然の通告から二か月もたたないうちに廃止しようとしています。実態を知ってほしい、切実な声を聞いてほしいという利用者がいるにもかかわらず、区長はかつて、この事業は「有名無実」と冷たい言葉を浴びせました。あまりにも区民をないがしろにした姿勢です。
その二は、保育料の値上げ問題です。今年9月から目黒区は保育料を値上げし、2017年度ベースで総額1億5千万円もの負担を子育て層に押し付けるものです。保育料値上げは、所得の低い層に配慮したといいますが、目黒区はもともと家賃も高く、消費増税や物価の上昇、国保料の値上げ、住宅ローンなど、相対的に保護者負担も増大しています。にもかかわらず、区民への説明会も行わず、くらしの実態調査や保護者への聞き取りすらしていません。まさに、問答無用の値上げです。
その三として、安倍政権の医療や介護などの社会保障切り下げについて、国にものを言わずに追随し、容認していることも問題です。
まず、国民健康保険料の値上げでは、新年度一人あたり3926円の負担増です。給与所得者夫婦と子どもの3人世帯の場合、年収200万円から300万円の低所得層の国保料が年収の一割を超えました。2016年決算では、11967世帯、実に4世帯に1世帯が滞納している状況です。しかし区長は、税の公平性の観点から一般会計の繰り入れは抑制すべきといいます。国保がいのちを守る社会保障だからこそ、国も都も区も、いまこそ財政支援を行って、高すぎて払えない保険料を引き下げるべきです。
その四として、介護保険の改悪も問題です。国の介護保険制度改悪のもとで、「保険あって介護なし」といわれる事態となっています。新年度の改定では、介護利用料の3割負担導入や、サービス削減を狙った要介護の生活プランを市区町村に届け出ることを義務付けることや、自立支援の名で給付削減した自治体に交付金を支給するなどのインセンティブが盛り込まれました。こうした国の改悪に対して、目黒区として意見を上げ、独自に拡充していくべきです。さらに介護保険料の改定では月額基準額5780円から6240円に値上げされ、高齢者の負担増となりました。
その五として、国の生活保護基準の見直しでは、生活保護を利用している人のみならず、国民福祉の基本水準を引き下げるものであり、断じて許せません。しかし目黒区は、生活保護を受給していない世帯との均衡性から見直しは必要と答弁し、国の生活保護引き下げに追随しています。目黒区は最前線となって区民福祉を守る基礎自治体として、区民のくらしの実態を目の当たりにしているからこそ、率先して今回の保護基準引き下げに反対すべきだったのではないですか。国の社会保障改悪、医療や介護、生活保護の削減を行う中で、目黒区が区民のくらしを守る姿勢に欠けていることは大問題です。
こうした社会保障に対する区長の姿勢に表れているのは、まさに福祉の心を失った姿です。なによりも目黒区はこうした区民への負担増と福祉の切り捨てを、「受益者負担」や「数の公平性」という言葉で自らを正当化してきました。区民サービスを受けて得をするのは本人なんだから、本人がそれを負担すべきという受益者負担の考え方や、サービスや福祉の恩恵を受けている人と受けていない人との公平性を言い出せば、もはや社会保障は成り立ちません。誰もが人生において事故や病気、子育てや介護など、様々な事情で、困難に陥ることがあります。自治体の役割は、その時に誰もが支援を受けられ、立ち直れるためのセーフティネットを作ることです。しかし、目黒区は「限られた財源」論や「スクラップアンドビルド」に固執し、区民サービスのカットと一体の財源確保策にのめり込んでいます。日本共産党は、社会保障の財源として、安倍政権が大企業や富裕層に対する4兆円もの行き過ぎた減税をやめて、応分の負担を求めることや、「戦争する国づくり」と一体に、5兆円を超える過去最大の軍事費計上などを社会保障の財源に回すべきだと指摘してきました。自治体にまともな社会保障の財源を支出せず、「受益者負担」という自己責任論を振りまく安倍政権に追随する、区長の姿勢は愚の骨頂と言わざるを得ません。
反対する第二の理由として、保育や子育て支援の在り方を歪めている問題です。今年の4月に区内認可保育園の最終審査の結果、申し込み者のうち37%の944人が入所不可とされました。今年はようやく1000人を切りましたが、まだまだ入れない子どもが他の自治体に比べても圧倒的に多い状況です。認証保育や小規模保育を終えた父母からは、3歳からの行き場がない。このままでは仕事をやめなくてはいけないと切実な声が上がりました。そうした中で、2017年9月に出された待機児解消プランも、民間株式会社頼みであり景気の動向や東京都や国の補助金のゆくえに左右されるなど、不安定要素が大きいものであり、区立保育園の増設も含め、安心で確実な保育園の待機児解消を、目黒区が責任をもって推し進めるべきです。また、学童保育の待機児童問題では、目黒区が国の「放課後子ども総合プラン」の導入によって解消を進めようとしています。学校との一体化、大規模化、全児童対策によって、質の後退が懸念されています。子どもの成長発達を保障する観点から見れば、本来、待機児童の解消は、学童保育の増設を柱に据えて解消を図るべきであります。
 反対する第三の理由として、民営化路線や行革によって、自治体本来の役割を放棄していることです。経費削減を名目にした子育て支援の柱である区立保育所の廃止はやめるべきです。待機児解消の面でも、保育の質を守る面でも、保育士確保の面でも、行政が直営でやるからこそ体制が保証され、保育士の待遇も保障されます。北区では区立保育園の募集をして80人の職員募集に対し、500人近い応募がありました。目黒区民からも、公立保育園がいいという意見が多く寄せられています。2018年度新行革計画の「民でできることは民で」という経費削減で区立保育所を廃止することは、区民と行政がともに築き上げてきた目黒の保育を後退させることです。公設公営の学童保育を委託民営化することも同様です。
職員削減による住民サービスへの影響についても指摘しておきます。この間、住民サービスの需要が増えているにもかかわらず、行革計画を優先し、職員を増やさなかったことは重大です。例えば、保育の入所選考の時期は保護者が窓口に殺到します。しかし説明が不十分なため、保護者が混乱し、行き違いが起きています。職員を補充し、保育園に入所できなかった保護者に対する、相談窓口の拡充や、フォロー体制を充実させるべきです。また学童保育では、この間入所児童が増えるなかで、学童保育クラブの正規職員を増やさず、非常勤職員の不足が大問題となっています。また、生活保護世帯が増える中で、生活保護のケースワーカーは一人で90件以上も担当しています。ケースワーカーの拡充も必要です。住民サービスに的確に対応するためには、それを担う職員の増員や労働条件の改善が必要ですが、行革が優先され対応できていないのが現状です。
反対する第四の理由として、国の行方を左右する憲法をめぐる区長の認識についてです。安倍政権が異様な執念を燃やし、危険この上ない憲法9条改憲を企てています。憲法に自衛隊を明記するという、安倍政権による改憲は、集団的自衛権行使の全面的容認など海外での無制限の武力行使を可能にさせる道であり、戦後の日本の平和の歩みを逆転させる道に他なりません。国民世論の多数は、平和憲法である憲法9条改憲に反対しており、全国各地で安倍政権による9条改憲に反対する「3000万署名」も取り組まれています。しかし、区長は憲法9条改憲について「地方公共団体の首長として意見表明すべき立場にない」などと述べました。これでは、平和都市宣言で高らかに謳っているような「平和憲法を擁護」する目黒区の立場とはいえません。今こそ区長は平和を願う市民と手を携え、平和憲法9条を守るべく声をあげるべきです。
以上4点にわたって反対する理由を述べてきました。
そのほかにも、区有施設見直し計画のもとで、必要な学校の改修改築が後手に回っていることは問題です。かつて実施計画に上がっていた大岡山小学校の改修は、緊急財政対策で削られたままであり、耐力度調査も公表せず、全体の計画が示されていません。その一方で、経費削減を優先させた7中、8中、9中、11中の学校統廃合計画は予定通り進めようとしており、やめるべきです。また、子どもの貧困対策では、就学援助金の入学支度金の額を国基準に引き上げるべきです。すでに新宿区をはじめ支給額を増額している自治体がある中で、目黒区でも引き上げを求める区民の要求に早急にこたえるべきです。最後に、児童相談所の設置の問題です。先月、区内の5歳の女の子が、虐待によって死亡するという本当につらく悲しい事件がありました。品川の児童相談所の対応とともに、目黒区の家庭支援センターの役割も厳しく問われます。今後の児童相談所の設置においては、今回の事件を教訓に、二度とこのようなことが起こらないような体制を確立すべきです。今後、虐待から子どものいのちを守るという厳しい仕事を担わなければならない目黒区として、十分な職員体制を確立するためにも、東京都に強く支援を求めるべきであります。
以上、新年度予算の問題点と求められる対策について述べました。日本共産党目黒区議団は、区民のいのちとくらしを最優先で守る区政に転換するために全力をあげることを表明し、反対討論といたします。

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