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党の政策

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第1回定例会における森美彦議員の一般質問

私は、日本共産党区議会議員として、区政一般について質問します。
第1は、安心して住みつづけられる住宅困窮世帯への支援についてです。
年金カットや医療・介護の負担増・給付減などによって格差と貧困がたいへんな勢いで拡大し、「下流老人」「老後破産」といわれる低所得の高齢者が増え続けています。貯金ゼロの高齢世帯は2割を超えました。貯えもなくなり、家賃が払えなくなったために、安いアパートに転居せざるを得ない人が次々生み出されています。
2年前、川崎市内の簡易宿泊所で大規模な火災が起きました。生活と住宅に困窮した人が行き着いた先は簡易宿泊所でした。老朽化した狭い空間に何人も押し込める危険な居住環境ですが、そこに住むしかなかったのです。10名の尊い命が失われた事件は、あらためて、住宅困窮世帯への支援の問題を突き付けているのではないでしょうか。
さて、目黒区内に目をやれば、安いアパートは、環境が劣悪です。生活保護世帯の場合、単身で5万3700円、夫婦では6万4000円以下の家賃です。こうした安いアパートの居住環境を調べてみると、民間アパートに住んでいる2022世帯のうち、28%に当たる579世帯は、お風呂のない住宅です。また、安いアパートには、エレベータがほとんどありません。高齢になって膝が痛くても、10分もかかる階段の上り下りを耐えなければならないアパートにいるのです。こうした高齢者が多くなっているのに、お風呂もエレベータもある公営住宅にはなかなか入居できません。数が少ないからです。   
あるご夫婦は、年金が月13万円で、家賃6万8000円のアパートに住んでいます。3年前から家賃助成を月1万3000円・家賃の2割程度受けていますが、あと3年で打切りです。区営住宅に入りたいのですが、26年度は募集ゼロ、27年度は募集がありましたが55倍で落選、28年度は募集ゼロ、29年度もあるかどうかわかりません。
深刻化する住宅問題を打開するために、まず、公営住宅の整備等についておたずねします。
その1は、区営住宅の新増設についてです。
高齢世帯の家計にとって、民間アパートは家賃が高い。高齢を理由に入居を敬遠されがちである。その上、頼みの区営住宅は倍率が数十倍でなかなか当たらない。高齢者が目黒区内に住宅を確保することがますます困難になっています。こうした、住宅に困窮する世帯に対して、安心して住み続けられる住宅を確保することは、自治体の責務です。
今こそ、必要とする人が入れるよう区営住宅を新規建設すべき時ではありませんか。また、都営住宅を区移管することにより区営住宅の増設を図るべきでないか、おたずねします。
その2は、目黒区内での都営住宅新規建設を東京都に要請することについてです。
目黒区内に都営住宅がつくられた最後は、いまから17年前、都立大跡地に建てられました。その後、東京都が都営住宅の新規建設をストップしている下で、区議会議長会として公営住宅の建設促進を図ることを求める要望書を都知事に提出しています。全都で最も都営住宅の少ない目黒区内において、都営住宅の新規建設を図るよう、目黒区長として都に要請すべきではありませんか。
その3は、高齢者福祉住宅の増設についてです。
高齢者福祉住宅については、昨年は単身用の倍率が7倍を超え、67名が入れませんでした。厳しい応募基準の下で、立ち退きを1年以内に迫られていたり、厳しい住宅環境におかれていたり、落選した誰もが高齢者福祉住宅への入居を切実に必要としている人ばかりです。必要とする人が入れるよう増設すべきではありませんか、おたずねします。
その4は、高齢者福祉住宅の応募基準の緩和についてです。
高齢者福祉住宅は、立ち退きを迫られていることや極めて劣悪な住宅環境であることなど応募要件が厳しすぎるので、入居を必要としているのに応募もできない人が多いのが現状です。高齢者福祉住宅の応募基準を緩和すべきではありませんか。
次に、家賃助成制度の拡充についてです。
目黒区の家賃助成は、公営住宅を補完する役割を果たすべきなのに、支給年限があります。高齢者の家賃助成については、6年間で打ち切られてしまいます。「家賃助成で助かっていたが、公営住宅に当選できないまま、打切られたらやっていけない」という切羽詰まった声が聞こえます。年々、高齢者の生活は厳しくなるばかりです。6年で打ち切るのではなく、家賃助成を継続すべきではありませんか。答弁を求めます。
第2は、緊急時通報システム・生活リズムセンサーの普及についてです。
東京都監察医務院によれば、2015年に23区内で孤立死した高齢者の数は最も多くなり、3116人に上ったことが明らかなとなりました。内閣府の高齢者白書によれば、孤独死を身近な問題だと感じる高齢者の割合は、単身世帯では45%を超えました。目黒区が実施した2014年3月の「高齢者の生活に関する調査」によれば、日常の生活支援サービスの中で、利用意向の最も多かったのが、緊急時通報システム・生活リズムセンサーで、34.7%もありました。
こうした中で、目黒区が、新年度において、非常通報システムについて、孤立死防止対策の一環として利用できる年齢要件を一律65歳以上に緩和しようとしていることを評価するものであります。今後の普及促進に向けて質問します。
その1は、区営住宅への非常通報システム・生活リズムセンサー設置についてです。
高齢者福祉住宅では、管理人や生活援助員LSAによる見守り体制とともに非常通報システム・生活リズムセンサーが100%完備されているので孤立死はゼロであります。一方、高齢化率が45%にもなる区営住宅では毎年数名の孤立死がなくなりません。福祉との連携を強化する取組の一環として、ひとり暮らしの高齢者世帯には区営住宅にも、非常通報システム・生活リズムセンサーをセットで、標準的な装備として設置してはどうでしょうか。
その2は、生活保護世帯の孤立死防止についてです。
生活保護世帯の高齢化率は57%に達し、孤立死が生まれています。高齢者の中には電話のない世帯が37世帯あり、1名増員されてもまだ少ないケースワーカーが頻繁に訪問し様子を見ることができる状況ではありません。非常通報システムを設置すれば、1か月に1度、体調等を確認するためコールセンターよりお伺い電話がかかります。利用者からも、緊急時以外でもコールセンターに常駐している看護師などにいつでも健康を含め相談が可能です。
ひとり暮らしの高齢者で生活保護世帯には非常通報システム・生活リズムセ
ンサーをセットで設置するよう個別に働きかけてはどうか、おたずねします。
その3は、普及促進に向けた取り組みについてです。
非常通報システムの普及台数は、この3年間に161台から、294台、
370台、生活リズムセンサーの普及台数は、20台、34台、60台と利用者数が伸びてきましたが、34.7%という利用意向の高さと、命の危機を救うことができる孤立死防止策としての重要性を考えれば、利用する人を大きく伸ばすことができることは明らかです。また、高齢世帯の4割を占める非課税世帯については、無料で非常通報システムを入れることができます。生活リズムセンサーをセットで利用しても無料であることを説明し、普及することも重要です。制度の周知をあらゆるところで行い、抜本的な普及の促進と助成の拡充を図ってはどうか、おたずねします。
第3は、再生可能エネルギーの抜本的拡大についてです。
安倍政権は、原発を「重要なベースロード電源」として推進することを決め、原発再稼働への暴走を続けています。しかし、2年近い「稼働原発ゼロ」の体験を通じて、原発なしでもやっていけることが国民的認識となり、どんな世論調査でも再稼働反対は5割を超えています。
原発を再稼働すれば、わずか6年で使用済み核燃料の貯蔵プールは満杯となります。高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉は、「核燃料サイクル」と「使用済み核燃料の処理方針」の破たんを意味します。処理方法のない「核のゴミ」という点からも、原発再稼働路線の行き詰まりは明瞭です。
福島原発の廃炉、賠償、除染費用は、11兆円ではなく倍の21・5兆円かかり、税金と電気料金へ上乗せしようとしています。国から東京電力への資金援助は9兆円から13・5兆円に拡大され、国民負担になる可能性があります。究極の高コストの原発を続ける道理はありません。原発輸出はきっぱり断念すべきです。
政府は、石炭火力発電所の新規建設計画を推進していますが、東京湾をはじめ全国で48基、全て稼働した場合、年間約1億4100万トンのCO2が排出されます。地球温暖化対策の新しい国際ルールである「パリ協定」に背き、
「脱炭素」に向かう世界の潮流に逆行するものです。
原発ゼロと温室効果ガス排出削減を進める上で、再生可能エネルギーの飛躍的普及をはかることこそが求められています。2030年までに電力需要の4割を再生可能エネルギーで賄うという目標をもち、地域環境に配慮しながら、それを実行する手だてを着実にとる。この目標は、世界の再生可能エネルギー先進国に追いつくための最低限の目標であり、自治体も共有すべきものです。
また、再生可能エネルギー普及の道は、地産地消による地域経済の振興と雇用創出、日本のエネルギー自給率の向上にとっても大きな効果があります。
日本共産党区議団は、これまで自然エネルギー100%を目指している高知県梼原町や地域自然エネルギー基本条例を制定し市民と協働で取り組んでいる滋賀県湖南市を視察しました。世田谷区の先進的な取り組みにも学んでいます。また、今年度の都市環境委員会の視察では、金沢市や富山市の再生可能エネルギー推進の取り組みを視てきました。目黒区でも再生可能エネルギーの利用を大きく促進するために、以下4点質問します。
その1は、再生可能エネルギーの目標を設定することについてです。
いま、目黒区環境基本計画の改定が進められていますが、区の改定素案には、再生可能エネルギーに関する目標数値がありません。「東京都環境基本計画」の再生可能エネルギーによる電力利用割合は、2024年までに20%程度、
2030年までに30%程度に拡大するという目標になっています。
目黒区として再生可能エネルギーによる電力利用割合に関わる目標数値を設定すべきではありませんか。お答えください。
その2は、自然エネルギー由来の電気に関わる区民意識調査についてです。
平成27年度実施した世田谷区民意識調査によりますと、「自然エネルギーの価格が他の電気より高くても利用したい」もしくは「少し高い程度なら利用したい」と答えた区民の割合は約18%でした。「価格が他の電気と同程度なら自然エネルギー由来の電力を利用したい」と答えた人を含めると約60%になりました。この結果は、自然エネルギー由来の電気にニーズがある!ということにほかなりません。自然エネルギーの抜本的拡大を図る上で、目黒区民の意識調査する意義は大きいと思います。自然エネルギー由来の電気に関わる目黒区民のニーズの意識調査を次回世論調査に合わせて行ってはどうでしょうか。
その3は、自然エネルギー活用の拡大に向けた自治体間交流についてです。
世田谷区は、群馬県川場村の木質バイオマス発電による電気を世田谷区民が購入する仕組みを創っています。一方、友好交流都市の気仙沼市では、自然エネルギー活用に向けた自治体間交流を東京都と行っています。都の環境公社が電力小売り事業者となって、再生可能エネルギー由来の電気を供給するモデル事業を昨年7月開始しました。この事業は、震災復興事業として進められている気仙沼市のバイオマス発電から電気を調達します。地域の林業を育成し、健全な山林を守るため、間伐材を通常の2倍の価格で買取り、その半額を、気仙沼市の地域通貨で支払っています。
 また、昨年友好交流都市になった金沢市では、「エネルギー自立都市」をめざしています。自分たちが使うエネルギーを自分たちでつくり出す、エネルギーの地産地消を進めるまちです。エネルギー自給率向上の目標を掲げ、金沢らしさを生かした13の多様なエネルギー創出のための事業に取り組んでいます。
こうした事例にならい、目黒区と友好協力関係にある気仙沼市や金沢市などとの自然エネルギー活用の拡大に向けた自治体間交流を推進する考えはないか、おたずねします。
その4は、目黒川に小水力発電所を設置することについてです。
 金沢市が進める13種類の自然エネルギー創出の取り組みの一つが、用水を利用したマイクロ水力発電です。本多公園の水車発電機を見学しました。決して大きな電力を供給できているわけではありませんが、啓発表示盤や見学スペースがあって啓発効果は大きく、これなら目黒川でもできる!と啓発されてきたというわけであります。
目黒川に小水力発電所を設置し、見学スペースや表示盤を設けて、再生可能エネルギーの普及啓発や環境教育に活用してはどうでしょうか。
第4は、みどりの条例に基づく保全協議制度の強化についてです。
目黒区の緑被率の5割以上は、民有地のみどりです。目黒区内にある直径
20cm以上の樹木の本数は、2004年から2014年までの10年間に
1500本以上減少しました。20年間では4000本近い減少です。街路樹の減少は、PМ2・5をはじめ大気汚染公害対策にとって問題です。
保全協議の制度は、民有地の樹木が減少傾向にある中で、みどり豊かな都市環境に向けた取り組みとしてできた制度です。屋上緑化や芝生の緑も貴重ですが、ボリューム感のある豊かな樹木を守ることは重要です。
減少傾向にある樹木の本数を増加傾向に転換するために具体策を講ずる必要がありますので、みどりの条例に基づく保全協議制度の強化などについて、以下2点に絞ってお尋ねします。
その1は、樹木を増やす目標設定と実態把握についてです。
目黒区内の緑被率を10年間で17.3%から20%に増やそうというのが目黒区緑の基本計画の目標です。ところが、10年に一回の緑の調査では実態把握が不十分であり、対策も打てません。直径20センチ以上の樹木本数については、目標数値を設定するとともに、毎年の増減状況の把握に努め、必要な対応策を検討するようにしてはどうでしょうか。
その2は、伐採する前に目黒区と近隣住民への説明責任を義務付けることについてです。
みどりの条例に基づく保全協議制度をさらに強化する必要があります。大へんに貴重な巨木や樹林地が伐採されはじめてから地域の住民が知り、事業者に対して残すよう交渉を始めたがすでに時遅し、ということが続いています。事前に届け出がなくわからなかったというケースもあります。
大きな樹木をはじめ地域の貴重なみどりについては、伐採する前に目黒区と近隣住民への説明責任を義務付けることによって、区内の民有地等の大木や樹林を守る仕組みを強化する考えはありませんか。
以上、区長におたずねして、壇上からの質問を終わります。

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