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党の政策

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2016年度目黒区一般会計予算案にたいする岩崎議員の反対討論

 私は、日本共産党目黒区議団を代表して、議案第19号、平成28年度目黒区一般会計予算案に反対の立場から討論を行います。

 現在、区民の方々は生活上、さまざまな困難に直面しています。保育園に子どもを預けることができず途方に暮れている父母たち、学童保育クラブが不足し入れない、定員オーバーのつめこみの学童で不安感が募っているなど、目黒で子育てしていけるだろうかと悩んでいる子育て世代のみなさん。お年寄りは特別養護老人ホームなど介護施設が足りず、在宅介護も十分に受けられず、現役世代が仕事を離れなければならない状態も続いています。
 
 中小零細業者の方々は、もうけが大企業に集中する一方で、相変わらず仕事確保もままならず、仕事を続けるのも困難、さりとて廃業もできないといった状況です。
安倍内閣のもとでの消費税増税、社会保障切り下げの影響を受け、働いている方々は実質賃金が目減りし、高齢者は年金の引き下げと相まって二重の影響を受けるといった状況で、家計や生活への不安感は増す一方です。

 地方自治体の仕事は、なによりも、住民の生活を支え、福祉を向上させ、住民が困っている課題を一刻も早く解決するために手を尽くすことです。予算編成のなかで区長が示すべき姿勢は、まず、区民の生活実態に心を寄せ、区民の切実な声に耳を傾ける、これが不可欠です。ところが、この議会での本会議、予算特別委員会での質疑をとおして、区長からはまったくそういう真摯な姿勢が見られず、それが新年度予算案にも反映しています。以下、その問題点を見ていきます。

 第一は、子育て支援について、区長の答弁は、保育園に入れない親の立場に立ち、真剣に保育園を増設しようという姿勢が、まったく感じられないものでした。
先日、認可保育園に入園できなかった9人のお母さん方が、区に不服審査請求を提出しました。「3歳になるので認証保育園を退園しなければならない。認可保育園に入れず”死ね”といわれているようだ」「目黒区で育ち、やっぱり目黒に住みたいと戻ってきた。仕事の内定が出て、就職も決まったのに保育園に入れない。子どもとの時間を大切にしたいのに保育園探しでくたくた。このままでは、仕事を失い、家計も維持できなくなる」と涙ながらに訴えていました。

 今年4月の区内認可保育園の第1次入園申請では、申込者の56%、1119人が入園できず、昨年に引き続いてひどい状況であり、4年間連続でワースト3に入っているのは目黒区しかありません。認可保育園に子どもを預けたいと父母の方々が区に要請行動をしても、区長は対応を保育の所管課まかせにして、要請の場に一度も出てきていません。区長はなぜ、切実な声を直接聞かないのですか。聞く気がないからでしょう。それが、とてつもない遅れにつながっているのではありませんか。

 子ども総合計画は2015年4月までに待機児をゼロにするという目標を掲げていました。2012年度の時点で、区はすでに待機児が急増する状況であったことを認識していたにもかかわらず、わが党が認可保育園の増設を求める質疑の答弁で、「緊急財政対策に取り組んでいる状況のもとでは、直ちに大幅に施設をふやすことは困難である」と言って抜本的な手を打とうとせず、事実上、待機児ゼロ計画を反故にしました。

 私たちが早い段階で区立も民間も大規模に推進することを求めてきましたが、区長はしきりに「区立保育園は設置を決めても2年6か月かかる」あるいは「他区で成功しているのは民間の賃貸型だ」と、区立保育園建設を否定し民間にまかせっきりにしています。こういう区政運営では、待機児解消は絵に描いた餅としか言いようがないではありませんか。

 第2の問題は、「受益者負担の原則」を区政運営の柱の一つにしていることです。区は、2013年度に認可保育園、学童保育クラブ、区立幼稚園、こども園の保育料の引き上げ、住区会議室や社会教育館、体育館などの施設使用料を15年ぶりに引き上げ、年間で1億2千万円の新たな負担を区民に押し付けました。そして、4年ごとに改定していくことを原則にし、新年度にはまた、引き上げの検討を行うとしています。

 区民施設は所得の多い少ないにかかわらず、区民が自分自身の生活のために、あるいは健康増進、自己啓発、自己実現のために等しく使用できるように、行政が使用料を最小限に抑える努力をすべきものです。保育料は子育て支援の福祉的観点から引き下げるべきです。

 「受益者負担」については、保育料や施設使用料だけでなく、あらゆる分野で区民負担を押し付ける口実になっています。消費税増税や物価の引き上げなど家計への負担が耐え難くなっている状況の下で「公平性」を持ち出した新たな負担計画はやめるべきです。

 負担増の問題とかかわり、区長は消費税の10%への増税について、「やむをえない」と答弁しました。8%へ増税後、家計が冷え込み消費支出が落ち込んでいる中で、10%へ増税されれば5%の時と比べて一人当たり8万1千円もの負担増になるにもかかわらず、消費税増税を容認していることも大きな問題です。

 第3は、新たな施設は原則、つくらない、区民一人あたりの区有施設面積を15%削減することを打ち出している区有施設見直し方針が、区民の切実な要求の実現をはばんでいることです。認可保育園不足も学童保育クラブの不足も、特別養護老人ホームなど介護施設の増設が進まないことと無縁ではありません。住宅に困窮している人が強く望んでいる区営住宅や高齢者福祉住宅の増設がすすまないことや、予定されている都営住宅の区への移管が進まないことも、見直し方針が大きな影響を与えています。

 しかし、この間の質疑で明らかなように、民間任せでは限界があり施設増設は進みません。区が直接、施設を建設していかなければ、必要な施設を充足させることはできません。区有施設見直し方針のしばりで先送りすることはできません。現在の見直し方針はそれこそ見直すべきです。

 第4は、目黒区の常勤職員体制を1900人へと削減していくことは、区民サービスの充実のために働いている職員の待遇を悪くすると同時に、区民サービスをも低下させるという問題です。

 行革計画では、新年度の削減は35人という計画です。これを実行すれば、ますます、職員にも区民にも大きな影響が及んでしまいます。技術職は入職してから一人前になるには一定期間が必要であるにもかかわらず、新規採用が抑えられ、人材が育たない、学童保育クラブも常勤職員を減らし非常勤職員の募集をかけても、低賃金で何年勤務しても正規採用になれないため応募が少なく、保育の窓口も職員の残業が常態化し、どこも慢性的な欠員状態です。必要な部署は、職員削減どころかむしろ、増員こそはかるべきです。

 また、「民間活力の活用」などといって、区立保育園を手放して民間まかせにする計画や、下目黒福祉工房の指定管理者制度導入、戸籍部門の民間委託まで検討することは、区自身が公共サービスを担う民間の職員を劣悪な待遇に置き続けるものです。
目黒本町福祉工房では指定管理者の職員が定着しないなど不安定な運営が続き、社会教育館では常勤職員削減で、再任用の職員配置でサービス水準を維持しようとしているものの、講座が半減されるなど影響が出ています。区立図書館ではレファレンス機能が損なわれる事態になっています。職員削減計画と民営化計画はストップさせるべきです。

 以上、反対する主な理由を述べてきました。そのほかにも、国民健康保険料をまたもや引き上げ、保険料を払うのが苦痛だという区民にいっそうの負担を押し付けたこと、また、家計が苦しくやむを得ず区税や保険料を滞納してしまった人に対しても、容赦なく滞納対策を強化すること、大地震対策については、補助46号線の整備と沿道の耐震化という道路整備とその沿道対策が中心になり、住民追い出しにつながっていること、木造住宅の耐震診断に半額負担を導入し、結果的に木造住宅の耐震診断助成も耐震改修助成も件数が大幅におちこんだように、面的な住宅の耐震化を追求していない点、個人情報の漏えいやプライバシーの侵害、なりすましなど区民が不安を持ち、個人の財産を国がつかんで税や社会保障の負担強化をすすめるなど大きな問題があるマイナンバー制度の拡大をめざすなど、新年度予算案には問題点が多々あることも指摘します。

 さて、この4年間の青木区政は、23区で5番目の財政力がありながら、財政危機をあおりたて、くらし・福祉を切り下げる一方、保育料・使用料は引き上げ、区民が望んでいる施設を十分につくることのできるJR跡地の売却などを行ってきました。この間、区税収入や都区財政調整交付金などの伸びもあり、2011年度末には135億円だった区の全体の基金残高は、15年度末には323億5千万円へと188億円以上増え、2・4倍にも膨らんでいます。その一方で、区民生活を支える肝心な仕事が進んでいないことはこれまで述べた通りであり、こうした区政に「何もしない区政だ」との声を頻繁に聞きます。日本共産党目黒区議団は、区民生活支える緊急課題に本気で取り組む区政へ切り替えていくために力を尽くしていきます。

 最後に、国の行方を左右する問題、安保法制すなわち戦争法と憲法をめぐる区長の認識の問題についてです。

 安倍内閣が今月29日にも、安保法制・戦争法を施行しようとしています。中東での米国の対テロ戦争の「後方支援」を自衛隊が行うことも法的に可能になり、改定PKO法によりアフリカの南スーダンなどに派遣される自衛隊の任務が拡大され、武力行使をするおそれも浮き彫りになっています。海外に派兵された自衛隊が戦後初めて「殺し殺される」事態を引き起こす危険を現実のものにするものです。

 安保法制・戦争法廃止や立憲主義回復を求める行動は3月に入っても、大きなうねりとなって広がり、大小さまざまな集会やパレードが全国各地で行われています。廃止を求める「2000万署名」は、各地で広範な規模で進められています。

 マスメディアの世論調査でも、毎日新聞3月7日付で安保法制・戦争法を「評価しない」が49%と、「評価する」の37%を上回り、読売新聞3月17日付でも賛否がきっこうするなど、依然、国民の不安が払拭されていないことを示しています。こうした状況だからこそ、国会では野党5党が結束して廃止法案を提出しているのです。

 95%の憲法学者が安保法制・戦争法は違憲だと言っているにもかかわらず、区長は「国会で成立した法律はすべて憲法に基づいている」などと述べ、事実上、合憲だとする発言を行いました。目黒区の平和都市宣言が「地球のすべての人びととともに永遠の平和を築くよう努力する」と表明して平和憲法を擁護することを宣言しているのに、憲法に違反し重大な犠牲を生み出しかねない安保法制・戦争法について異を唱えられないのでは、平和への努力を放棄したことと同じではありませんか。

 平和か戦争参加かという国の針路で大きな岐路に立っているこの問題で、平和都市宣言の立場に立てない区政を続けるわけにはいきません。はっきりと平和憲法擁護を掲げる区政づくりのために日本共産党目黒区議団は力を尽くしていくことを表明し討論を終わります。

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